• AJECの活動
  • 部会の紹介
  • 特集インタビュー
  • 入会申し込み
  • 仕事の依頼
  • 会員社求人情報
  • 業務契約について
  • 業務委託基本契約書(ヒナ型)
基礎から学ぶ編集講座
EDITORIAL MAGIC EDITORIAL MAGIC 会報の最新号はこちら

オウンドメディアは「サイボウズ式」に習え!企業がメディアを運営する理由 サイボウズ株式会社 サイボウズ式 編集長 藤村 能光 氏

近年、種々様々なメディアが勃興するウェブメディア市場。なかでも企業が運営するウェブメディア(通称:オウンドメディア)の参入が盛んだ。
オウンドメディアとは、企業が伝えたい会社情報や製品PRをする従来のウェブサイトとは異なり、読者が知りたい情報を記事にして発信する新しいマーケティング手法。なかでも注目を浴びているのがソフトウェアを開発する会社、サイボウズが運営するウェブメディア「サイボウズ式」だ。「サイボウズ式」は月間アクセス数最高37万PVをたたき出す人気サイトなのだが、なぜ企業がメディアを運営するのか? そして成功の秘訣は? 「サイボウズ式」編集長の藤村能光氏に伺った。


サイボウズ株式会社 サイボウズ式 編集長
藤村 能光氏 Yoshimitsu Fujimura

1982年生まれ。2007年4月アイティメディア株式会社に入社し、4年弱編集記者を務め、2011年にサイボウズ株式会社に転職。無料グループウェア「サイボウズLive」のマーケティングに従事する傍ら、「サイボウズ式」の副編集長を兼任。2015年1月に「サイボウズ式」2代目編集長に就任し、現在に至る。

働き方に真摯に向き合う会社の姿勢を打ち出す

――ウェブメディア「サイボウズ式」のお話を伺う前に、サイボウズさんといえば、2014年11月に公開された動画「働くママたちに、よりそうことを。」がたいへん話題となりました。あれは、かなりチャレンジングな広告という印象を受けたんですが、実際の反響はいかがでしたか?

反響は想像以上のものでした。社内では「2本の動画再生数の合計が10万回くらいあればいいね」と話していたのですが、現在、累計再生数が100万回を超えています。それだけではなく、SNSを通じて「自分と重ね合わせて泣いてしまった」や「これは残酷すぎないか」「救いはなかったのか」など賛否両論の声をたくさんいただき、そのことでTVや新聞といったマスメディアに取り上げられるなど、定性的な反響も大きかったです。

――一般的に企業広告は、製品の売上げ増加のためにつくられるものですが、「働くママたちに、よりそうことを。」には一切PRがありませんでした。働くお母さんとその子供との関係をリアルに描いているだけで、見ている側としては、どんな意図が込められているのかなと疑問を持ちましたが。

視聴者に共感してもらうことに重きを置いていたので、あえて宣伝色を避けました。だからといって、共感できれば何でもいいわけではありません。サイボウズは「世界中のチームワーク向上を支援する」を理念に事業展開している会社なので、メンバー一人ひとりに合った多様な働き方ができるようにはどうすべきか、その一例として働くママを取り上げました。
とくにこれからの時代は、チームのメンバーの働き方は画一的ではなく多種多様になっていくと思います。そうした時に、いつでもどこでもチームが情報共有できるように、当社が開発しているグループウェアを使ってもらえればうれしいのですが、だからといって製品が働き方のすべての課題を解決するわけではありません。この動画を通じて、製品をPRするのではなく、サイボウズが働き方に向き合っている会社であり、考えている会社だということが伝わればと考えていました。

――御社自体も、新しい働き方の制度を積極的に導入していますね。

はい。サイボウズは積極的に新しい働き方の制度を作っていますし、「100人の社員がいれば、100通りの働き方がある」と考え、社員一人ひとりに合った働き方を模索しています。そして、社会に新しい働き方を提案していく会社なので、まずは動画で共感を呼び、記憶にとどめてもらった上で、働き方の課題が出た時にサイボウズを思い出してもらえればと。

――それは「サイボウズ式」のコンセプトにも通じそうです。「サイボウズ式」も製品PRは一切なく、働き方やチームワークなどをテーマにした記事コンテンツが盛りだくさんです。そもそも、なぜメディアを運営しようと思ったのでしょうか?

サイボウズ式それまでは、新聞や雑誌などのマス広告を使ってグループウェアを売ってきたのですが、過去数年間、売上げが横ばいになっていた時期がありました。「これまでのグループウェアの機能的価値を伝える広告手法だとコミュニケーションできないよね」という課題を感じていましたし、社長の青野にもそういった考えがありました。企業の情報システム部門だけにメッセージを届けているだけではなかなか市場が広がらないので、チームの間口を広げて、たとえば大学のゼミやサークル、NPOといったこれまで接点のなかった企業以外の人たちとコミュニケーションできればと考えるようになったんです。「サイボウズを知らない人に、サイボウズを知ってもらいたい」――。それがメディアを立ち上げようとしたそもそものきっかけです。

――それはFacebookやTwitterなどのSNSでも可能なことだと思いますが、なぜ、わざわざコストがかかるメディアを選んだのでしょうか?

当初は、FacebookやTwitterを使う案もあったのですが、ソーシャルメディアは情報が流れていくものであり、資産として会社に溜まりません。ほかにも新しい施策の担当者のスキルをどう伸ばしていくかなど、いくつかの課題があったので、別案を検討することになりました。そこで初代編集長の大槻が「コンテンツがいろんなところに共有されていく今の時代だからこそ、自分たちでコンテンツを作っていく必要がある」とオウンドメディアに目をつけたんです。
オウンドメディアは自分たちの伝えたいことを伝えるのではなくて、生活者が知りたいことや困っていることを伝えるために、専門性を持って編集・運営する媒体です。発信者は伝えるコミュニケーションスキルが求められますから、メディアを運営し続けていくことで担当者の経験値も増え、コンテンツと編集スキルの両方が会社として資産になるとふんで、2012年5月にスタートさせました。

――売上げ増加はまったく念頭に置いてないんですね。

はい。立ち上げ当初から売上げというのは一切考えないでやってきました。よく売上増を目的にオウンドメディアを運営するという話も聞きますが、メディアは長く運営し続けていくからこそ価値と成果が出るものだと考えています。なので、売上げ増の施策として短期的に成果を出すのは難しいんじゃないかと思います。社長を含むチーム全体で、サイボウズを知らない人にサイボウズを知ってもらい、コミュニケーションをするためにメディア運営することが共通認識として定着していたのが良かったと思います。

スマートフォンによって読者の態度が変わった

――実際、オウンドメディアを立ち上げてみていかがでしたか?

私は前職でITの情報サイト「ITmedia」の編集記者をしていましたが、「サイボウズ式」を運営し始めてからは、当時とはまったく違った発想で記事をつくらなければいけないことに気がつきました。記者が書く文章以外の伝え方があるんですよね。たとえば、記者が書くような「結論→説明→補足」の逆三角形型と呼ばれる記事の書き方だけではなく、ブログっぽい、普通の人が書いたような記事だって伝わるということがわかりました。

1 l 2 次へ

ページのトップへ
サイトマップお問い合せ Copyright(C) Since 2003 Association of Japan Editing & Creation. All Rights Reserved.
【事務局】〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-7 TEL:03-6869-7780 FAX:03‑6701‑7180