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オウンドメディアは「サイボウズ式」に習え!企業がメディアを運営する理由 サイボウズ株式会社 サイボウズ式 編集長藤村 能光 氏

――なぜ、ブログっぽい記事のほうがウケるんでしょうか?

ウェブメディアから発信したコンテンツは、SNSを通じて読者に伝わることが多いですよね。受動的に記事に接触する読者に、最後まで真剣に読んでもらうのはとても難しいです。とくにスマートフォンを使う人は、情報を受け取る人の態度やモチベーションが、新聞やパソコンで読むときとは異なります。1日の仕事終わりにベッドに横になりながら、スマホで記事を流し読みしているかもしれませんよね。そういった読者のことも考え、固くてきっちりとした文章よりも、ゆるい文章や簡潔に書かれている文章のほうが伝わるのではないかと考えています。

――ターゲット設定はいかがでしょうか?

ウェブやソーシャルでは、マスに向けた情報ではなく、特定の人に向けた情報のほうがひろがりやすいんじゃないかと思っています。ですので、「サイボウズ式」で記事をつくるときには、「Facebookにいる友達のあの人に共感してもらえる記事をつくろう」「あの人だったら、今どういうことに迷っているかな」ということを想像して書くようにしています。

――ということは、メディアのターゲットとは別にコンテンツ記事のターゲットを細かく設定しているんですか?

そうですね。「サイボウズ式」は、20代〜30代前半の若いビジネスパーソンに向けて情報を発信しているんですが、そこからコンテンツ記事をつくるときにはさらに細分化した読者像を考えます。たとえば、大企業に勤めている人向けやスタートアップ企業で新しい価値を作ろうと頑張っている人向けなど、企画担当者の中でできるだけ読者像を絞るようにしてもらっています。すると自ずと「あるある」と共感してもらえるような記事になっていくんです。

会社のありのままを発信し続けること

――3年間続けてきて見えてきたことはありますか?

会社のありのままを伝え続けた結果、最近になって「サイボウズってこんな会社なんだ」という文脈や雰囲気が読者に伝わるようになってきました。私たちは「製品を売り込まない」「競合他社の情報も面白ければOK」「サイボウズ批判もOK」の3つを編集方針としてやってきたので、できるだけサイボウズのことは語らないようにしていました。にもかかわらず、ここにきてメディアからサイボウズの文脈が生まれるようになってきたのは、3年間地道にメディア運営を続け、読者のために有益になる情報を出し続け、ありのままを伝えていくという姿勢が徐々に読者に伝わってきたからだと思います。そういった姿勢に共感してもらえる方が増えてきたと実感しているからこそ、最近はもっとサイボウズのことを語ってもいいんじゃないか、という気持ちになっていますね。

――ということは、目的やダーゲットをきめて戦略を固めてから発信するわけではなく、あくまでも等身大のサイボウズを見せることに集約しているんですね。

おっしゃる通りです。マーケティングでは一般的に、製品開発から始まり、その製品をいくら売り上げるかという目標があって、それを元にマーケティング戦略や販売戦略を決め、プロモーションに落とし込んでいってというように工程を決め、新しい市場をつくっていくものだと思います。けれど、「サイボウズ式」でやろうとしているのはマーケティングではなく、ブランディングなんですね。しかも、ブランディングの対象は製品ではなく企業です。
最近、企業がメディア化し、生活者にとって有益な情報を発信する動きは「ブランドジャーナリズム」と呼ばれ、マーケティングとは一線を画したPR手法として世界的に注目されてきています。ブランドは、良いところを見せようとお化粧をしても決してできるものではありません。私たちが求める理想の姿勢や姿はあるんですけれど、いきなりその理想の姿になれるわけではないので、試行錯誤しながら徐々に理想に近づいている感じですね。その過程が「サイボウズ式」からも現れていると思います。従来のマーケティングの発想でコンテンツをつくっていたら「サイボウズ式」は成功しなかったと思います。

――なるほど。サイボウズとメディアが一心同体になった感じですね。

そうですね。社外に情報を発信し続けたことで、社外だけでなく社内でも記事が読まれ、記事内容を元にコミュニケーションが円滑になることもありました。いまは会社全体で「サイボウズ式」の成長を応援してくれる雰囲気になってきていると感じます。会社の変化の兆しを「サイボウズ式」のコンテンツとして出すと、読者の共感を呼び、「サイボウズってこういう感じの会社なんだ」という記憶が読者の頭の中にインプットされていく。その蓄積がいわゆるブランドとなっていくんだと思います。ですから、短期的にどうこうするのではなく、長期的なスパンで見ていく必要があります。なので、まずは自分たちが面白いと思うものをのびのびとやり、その熱や文脈が読者にも有益な形で伝わっていくことが大切ですね。

――媒体がウェブだからこそ、できることかもしれませんね。

それはありますね。ウェブでは完成したものをポンと載せるよりも、完成までの過程や途中経過を載せたほうが共感してもらいやすい。クラウドファンティングがまさにそうですよね。まだ完成していないプロジェクトに対して、思いや理念を提示することでストーリーが生まれ、支援者の共感が集まることで、実際のプロジェクトやプロダクトが生まれています。いきなり完成品をつくるのではなく、つくられていく過程が面白いからこそ、共感されるというのはあると思いますね。会社の成長の過程を読者のみなさまといっしょに体験できる場が「サイボウズ式」なんだと思います。
先日、「サイボウズ式」が開始して3年が経ちました。読者の方をお呼びして、編集会議の様子を公開する3周年イベントを開催したんです。編集会議といっても雑談なんですが、編集部員と読者が車座で囲ってネタ出しをしてもらいました。そういった途中経過をどんどん読者のみなさまと共有したりしながら、「サイボウズ式」をもっと盛り上げていきたいですね。



■ウェブメディア「サイボウズ式」【URL】http://cybozushiki.cybozu.co.jp/
グループウェア開発のサイボウズが運営するウェブメディア。初代編集長・大槻幸夫氏の発案により2012年5月に立ち上げ。“「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイト”をコンセプトに、チームワークや働き方、多様性を話題にした記事コンテンツを発信している。サイト立ち上げから丸3年を経て、当初の目的であった会社の認知度向上だけではなく、新卒採用や社内コミュニケーションの円滑化、製品の売上げ増、新たな市場創出などの効果を生んでいる。

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