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株式会社 タニタ 広報室室長 猪野 正浩 氏 410万部の大ヒット! 株式会社 タニタにみる企業出版成功の秘訣とは?

 

 

社員のモチベーションアップにも一役買う存在に

幅広い層の方々から注目されるようになったことで、社員の方の意識などにも何か変化は感じられますか?

やはり「世の中から自分たちが見られている」という意識が非常に強くなったのではないかと思います。テレビを通じてたくさんの人たちから自分の会社が注目されている。注目されている限りはきちんとしたビジネス、仕事をやっていかなければいけないよね、と。
昔から商品づくりはきちんとしっかりしている会社ですが、やはり見られていることで、中途半端な商品は出さないとか、当然他社さんよりも優れた商品を提供していくといった意識はより強く持つようになったと思います。
それから営業の社員も話題として社員食堂の話から切り出していくと意外と話がスムーズに進むといった面で効果があり、非常に社員のモチベーションが上がりましたね。弊社からアプローチするのではなく、逆にお客さまから「ぜひ、タニタさんの商品を使いたい」と言われることもあるくらいです。
たとえば「御社のレシピを使って催事をやりたい」というようなお話があると、弊社から「そこで商品を少し幅広く扱ってください」という話もできますし。取り扱い数を増やしてもらうとか、新しい流通のチャネルを開拓できるようになったとか、そういうプラスの効果がありますね。

ブランド力が具体的な数字として表れた

お聞きしていますと、この本を出されたことで貴社のブランディングの面でも大きな影響があったように感じます。

たとえばプロモーション活動に関していえば、弊社はある程度は名前が知られているからということで、あまり大々的なことはしてきていなかったのですが、レシピ本のヒットの影響で一番大きな効果が実証されたのは、企業ランキング調査です。日経BPマーケティング社が行った「ブランド・ジャパン2011」という調査で、「消費者からみた総合力の上昇ランキング」が約1000社中9位だったのです。それは上場・非上場関係なく、名だたる大企業が揃っている中で、ある意味では中小企業の当社が大きく順位を上げたわけです。 もう一つ、転職情報のDODAが行った「転職人気企業ランキング」では、前年の154位から42位へと、こちらも大きく順位を上げました。投票者のコメントにも書いてあるのですが、社風にとても好感を持ってくれているようです。 会社のイメージそのものが、我々がつくってきたイメージよりも出版によってかなり膨らんで、「アットホームで面白いことをやっている会社」というふうに見てもらえるようになったことが非常に大きかったかなと思います。

今後のメディア展開、またブランディングという意味での今後についてお聞かせいただけますか?

出版物の展開については、社員食堂関係に関してはもう今期までということで、頭を切り替えています。実は第三弾のお話もあったのですが、「ちょっと待ってください」と。出版社さんのお気持ちも理解できますが、我々の本業は外食産業ではありませんし、食堂の栄養士にかかっている負担が非常に大きいですから。 取材は今後もお受けしますが、やはり我々は健康をはかる機器をさまざまな形で提供するという本業がありますので、その本業の部分でいかに我々がつくった機器を理解していただき、購入まで結びつけられるかというのが広報室として考えていかなければいけないところです。 たとえば、体脂肪計、体組成計などのヘルスメーターを日本の工場でつくっている企業は、当社だけなんですね。一部、中国の工場で生産している商品もありますが、50グラム単位で体重がはかれるような高精度な機器や医療現場で使われるようなメディカル商品などは、秋田にある工場でつくっています。昔から愚直に日本のものづくりをきちんとやってきていますので、品質第一、性能第一、そして時代の変化に合わせて新しい価値を付加していく。常に市場を一歩リードしつつ市場をつくっていく、というようなマーケットクリエイターであり続けたいと思っています。 それが弊社の本来の目指す姿ですので、今後も出版した本の恩恵にあずかることはあるでしょうが、これにしがみつくわけではなく、上手に利用させていただき、我々のカテゴリーブランドの認知度を上げていきたい。ひいては売り上げの向上にも結びつけていけたらと思いますね。

では最後に、出版メディアを活用される際に、制作サイドに期待することはどんなことでしょうか。

今回は出版社さんからの持ち込みの企画でしたが、弊社には弊社の社員食堂の理念というものがあります。出版社側の利益を追求した「売れる」企画を提案されても、弊社の理念を曲げてまでは企画に賛同できません。 弊社は事業としてお客さまの健康に役立つ商品を心を込めてつくっています。それと同様に社員食堂でも社員の健康に役立つ食事を心を込めて提供していきたいと思い、実践しています。『体脂肪計タニタの社員食堂』は、そういった弊社の理念に担当編集者さんが共感してくれていたからこそ実現した企画だと思います。 書籍は広告やテレビと違い一過性のものではありませんので、その分、企業の実態や素顔が見えやすい。そういう意味では、社風や企業の哲学というものを伝えるには最適なメディアだと思っています。

株式会社 タニタ

1923年創業。体組成計、体脂肪計をはじめ、クッキングスケール、歩数計など、計量計測機器を幅広く製造しており、世界トップシェアを誇る。世界で初めて家庭用体脂肪計や業務用体組成計を開発するなど、常に業界を牽引してきた。1990年より、栄養や運動の管理指導と研究を行う施設を開設し、地域住民などを対象に栄養や運動指導とともに、食事の提供を始める。その食事を試験的に社員に食べさせる試みが行われたことが、社員食堂の前身である。

『体脂肪計タニタの社員食堂』
『続 体脂肪計タニタの社員食堂』

『体脂肪計タニタの社員食堂』『続 体脂肪計タニタの社員食堂』

大和書房 1,200円(税込)
2010年1月に第一弾、同年11 月に第二弾が発売された。ローカロリーながら、健康や栄養面だけでなく「満足度」も重視してつくられた定食メニューが一冊に約30 種類、ほかに「裏メニュー」や「赤ちょうちんレシピ」、コラムも多数収録されている、充実のレシピブック。電子アプリも好調。

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