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株式会社 タニタ 広報室室長 猪野 正浩 氏 410万部の大ヒット! 株式会社 タニタにみる企業出版成功の秘訣とは?

 

猪野正浩

株式会社 タニタ 広報室室長 猪野 正浩

新聞社勤務を経て、2006年、株式会社タニタ入社。広報室課長を経て2007年より広報室室長。2007年より国内だけでなく中国での広報体制の確立に着手。北京と上海を中心に記者発表会、プレスミーティング、展示会、イベントなどを定期的に実施している。趣味は映画鑑賞。広報の基本はマン・ツーマン・コミュニケーションであると自負している。

累計410万部(2011年10月現在)という、料理のレシピブックとしては驚異的な部数を売り上げている株式会社タニタの『体脂肪計タニタの社員食堂』シリーズ。
企業が本を出版するきっかけはさまざまだが、出版するだけでは認知度アップやブランディングにはつながらない。
ではなぜ『体脂肪計タニタの社員食堂』はここまでヒットしたのだろうか。その理由について、広報室室長の猪野正浩氏に伺った。

「健康をはかる」という企業理念を本づくりに活かす

2010年に『体脂肪計タニタの社員食堂』『続 体脂肪計タニタの社員食堂』と、レシピ本を立て続けに出版されましたが、出版に至ったきっかけはどういったことだったのでしょうか?

NHKのあるテレビ番組の中の、世界各国のさまざまな会社の社員食堂を紹介するコーナーで取材を受けたのがそもそものきっかけです。その番組をご覧になっていた出版社の方から、弊社の社員食堂のメニューをまとめてレシピ本としてぜひ出版したいということで、オファーを受けました。それで話がトントン拍子で進んでいきました。
ただ、第一弾は出版まで結構時間がかかりましたね。出版社さん側がこういったレシピ本を出版するのは初めてだったそうで、どのようなつくりにするのかといったことをいろいろと模索されていたようです。弊社の食堂の栄養士も食堂を運営しながらの初めての経験でしたので、あれこれ試行錯誤していました。
ですから、お話をいただいてから大体3カ月くらい経った頃に実際に動き出し、第一弾を出版するまでには1年弱くらいかかりました。

出版されるにあたってこだわりを持たれたのはどのような点ですか?

弊社は「健康をはかる」をテーマに体脂肪計や体組成計など、さまざまな商品・サービスを提供していますので、エネルギーの摂取と消費のバランスという視点を非常に大事にして取り組みました。エネルギーを過剰に摂取するとそれは当然脂肪として蓄積されますが、きちんと運動で消費して「カロリーのマイナス貯金」をしていけば健康的に痩せられますよ、ということです。
その「健康的に」というのが当社の社員食堂のメニュ-づくりの指針になっていますので、その部分は強調してもらいたい、というお話はしました。
それから、弊社の社長が調理師の免許と栄養士の資格を持っていまして、つねづね料理本に対して疑問に思っていたようで、「ここはこういうふうにしたらいいのでは?」というアイデアがいくつか出てきたんです。
たとえば巻末に「使い回しさくいん」を設け、食材の名前からどういう料理に使えるかを探せるようにすることで無駄なく食材が使えるようにしたり、ページごとに「使い回しレシピ」や栄養士から
の「おまけ情報」のコラムを入れたり、といったことを弊社から提案しました。

既存のユーザー以外にも親しみを持ってもらえるようになった

シリーズ累計で410 万部を突破されたそうですが(2011年10月現在)、たくさんの読者に支持された理由はなんだとお考えですか?

掲載されているレシピは、どれも1 定食あたり500キロカロリー前後。定食形式で5 品揃って栄養バランスもとれています。塩分も3グラム前後に抑えてありますので、非常にヘルシーかつ満腹感も得られるメニューで構成しています。
それを社員食堂で継続して食べることによって、弊社の社員の中にもダイエットに成功した人が多かったのです。
弊社は体脂肪計・体組成計をつくっているメーカーですから、さらに説得力が増したのでしょう。
また、できるだけ化学調味料を使わずに自然の出汁をとるなど、料理の基本的な部分を押さえてあるところも支持された理由の一つのようです。
本が売れたことでテレビに取り上げられ、それを観た視聴者の方がまた本を購入し……というメディアによる相乗効果もあって、息の長いベストセラーになっているのだと思います。

たくさんの読者の方からの反響があると思うのですが、この本を出されたことで「タニタ」という会社に対しての消費者の認知度が変わったというようなことを感じられますか?

そうですね。タニタという会社はもともと“ハカリ”のメーカーとして、それなりの認知度はありました。世界で初めて家庭用の体脂肪計を開発したということで、結構マスコミにも取り上げられましたし、「タニタといえばハカリ」という認知はあったんです。
しかし、そこから派生してさまざまな「はかる機器」が商品として出ているのですが、なかなかタニタという会社と当社がつくっている商品とがうまく紐付けされていないというところが実はありました。そこのところをなんとか埋めていかなければいけないという思いで広報活動を続けてきたのですが、結局この本が売れてくれたおかげで、「健康をはかる機器をつくっている会社だ」と非常に親しみを持って理解していただける方が増えたという実感はありますね。
お年を召した方は特に健康に気をつかわれているので、もともと認知度は高かったのですが、今では若い世代の方にも「あの社員食堂のタニタさんですよね」と言われますから、よりユーザーの層が広がったのではないかと思います。
そういった意味では、リクルートの面でも非常に効果がありました。この本を媒介にしていろいろなマスコミの方から取材を受けるようになって、タニタは何をやっている会社なのかとか、どういう社風なのか、ということを広く一般の方にお知らせする機会が増えたものですから、幅広い層の方々に弊社のことを理解してもらえるようになりました。

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