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第3回 編集プロダクションフェア2018

今回は、出版関係のお客様のほかに、
編集のお仕事を求めて、新卒予定者の方も多く見受けられました


開催日: 2018年3月15日(木)
時 間: 15:00~20:00
場 所: DNPプラザ 2Fイベントゾーン
参加者: 約 300名
構 成:
(1) 作品展示&会員社展示コーナー
(2) 編集なんでも相談コーナー
(3) 特別講演会 畠山健二氏 (小説家、コラムニスト、笑芸作家)
  「小説も編集も、目の前で話すように人情の機微を語ること、かな」

  ~『本所おけら長屋』で累計61万部を越えるベストセラー作家が語る、
  読む人をひきつける本作りとは?


        


第3回編集プロダクションフェアは、1回目と同じく大日本印刷さんの「DNPプラザ2Fイベントゾーン」をお借りして開催されました。1回目はお客様が多くて立錐の余地もないほど混雑していて大変でしたので、今回は、ゆっくり見ていただくということで、出展社のスペースをかなり広くとらせてもらいました。


出展社のみなさんも、もう3回目ということで、慣れたもので、今回は特に自分のブースをかなり上手にデコレーションしていた会員社が多く、それだけ、前回よりも華やかな雰囲気の会場になったかと思います。



お客様相談コーナーにも、ちらほら立ち寄られるお客様がいましたが、会員社のブースを回って、その会社さんの資料を集めていた学生風の方も多くいました。


畠山健二先生の講演が始まる頃は、会社が終わって駆けつけたお客さんも多くいましたが、大急ぎで会員社のブースを回る方も多く見受けられました。やがて講演会の席も満杯になり、大盛況でした。


特別講演会

時 間: 18:30~19:30
場 所: 同会場
講 師: 畠山健二(はたけやまけんじ)小説家、コラムニスト、笑芸作家
題 目: 「小説も編集も、目の前で話すように人情の機微を語ること、かな」

(講師プロフィール)
1957年東京都目黒区生まれ,墨田区本所育ち。大学時代に『ラブアタック』(テレビ朝日系全国ネット)に出演,みじめアタッカーやキャンバスレポーターとして活躍。1986年「第34回 NHK漫才コンクール最優秀賞」「国立演芸場金賞」など受賞。その後,コラムニスト,演芸台本作家,文章セミナー講師などをし,2012年『スプラッシュマンション』(PHP文庫)で小説家デビュー。2013年に刊行した時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)がシリーズ61万部を越えるベストセラーとなる。その他の著書に『下町のオキテ』(講談社文庫),『超入門・江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)など多数。

最初に人間関係をつくる

作家にはサイン会というお役目があります。あるとき、盛岡で電撃サイン会を開いたことがありました。なんと、100人は入れる会場に、90分の間でたったの4人(!)しかきてくれなかった。20分に1人の勘定ですよね。中の1人には、サインを頑なに拒まれました(笑)。サインがあると売れないからでしょうかね(笑)

53歳の時、友人の百田尚樹氏が『永遠のゼロ』で100万部のベストセラー作家になりました。一緒に食事をしたりして、触発され、僕も書きましたよ。『おけら長屋』を。そのとき、失敗したら小説家生命は終わりだ、と考えました。
それで、自分のことは、自分でやるしかないと。無名の人の作品を、版元の営業が書店回りをやってくれるはずがない、と思ったのです。

自分で、「本を置いてくれませんか?」と書店を回りました。最初の本が出てほぼ1か月間、書店を訪問すると、ほとんど門前払いでした。
なぜ、この作戦をやったのか? その頃、書店回りをする作家は、いませんでした。そのうち、だんだん本を読んでくれる人が増えてきて、書店員さんが声をかけてくれるようになったんです。
最終的には、人と人とのつながり、なんですよ。

そして、版元さんが、「絶対、この本を売る。目醒めさせる」と熱く語り、協力してくれることになりました。『チームおけら』を作って、はっぴ、半てんを着て、営業するようになりました。5人位で出発場所から、電車の中でも、これを着て歩くんです。宣伝になりますよね。書店さんも待っていてくれるようになりました。夏用、冬用と、自費で(!)作りました。

これは投資です。損をしてもいい。何かあった時、版元の偉い人にものが言える。「実費で書店を回って18万部売るところまできたんですよ。会社は何もしてくれなかったじゃないですか」とね。4巻、5巻で15万、20万部になってくると、周りが、違ってきた。
出版社も売るんだ、という気持ちに意識が変わってきた。

僕は1冊書いたら、1か月、2か月かけて、販売プロモーションに賭けるんです。ほかの本を書かないで。それで時間を費やす。結果的に、そのほうが本は売れる。
第9話の時、20日間で、11か所の都市へでかけました。盛岡、高知、北陸、広島……と。驚いたことに『みおつくし』シリーズの作家高田郁さんは、あれだけ売れている人なのにどこへ行っても、どの書店にも色紙が置いてある。実際目のあたりにして僕も頑張らなくちゃと心底思いました。

 デジタルの時代に、あえてアナログのことを、徹底的にやりました。だんだん読んでくれる人が多くなり、応援してくれる書店が増えてきました。
 書店さんは、横のつながりがあるんですね。『おけら会』を作って、「売りましょう」となった。そういう人に支えられて、本は売れていくのです。
版元さんも同じです。『おけら長屋』第6巻の時、18万部になりました。その時、責任者に会いまして、「これから何をしてくれますか? 30分以内にこたえてほしい」と僕は言いました。その場で新しい案も提案しました。

人間関係を構築していれば、何事もうまくいくと思います。編プロさんも同じです。版元さんとのやりとりをして、作ったものが駄目になることもある。だから、人間関係が大切なんです。アナログなことが。メールのやりとりだけ、スタバでコーヒー飲むだけ、ではだめだと思います。
締め切りを守る、作家でも営業をやる、そういう行動を、3年くらい見せ続けて、こいつは、ちゃんとしているんだ、ということがわかると、だいたい話は聞いてくれます。
 相手を納得させてから、提案をするんです。 
 
(小話で小休止)

僕は演芸作家をやっていたこともあって、講演でふざけたことを言うんですね。すると、主催者が怒る。
だからって、真面目なことを言うと、今度は聞いてる人が怒るんです。

 去年、某所で、『成人式のつどい』に呼ばれて、15分、ミニ講演をしてくれ、というんです。しゃべっている時に、一番前に座っていた人が、自分から携帯電話をかけた。「あ、俺。いま、ここ。つまんない」とか目の前でいうんです。

何か常識がない人が増えているんでしょうか。この間、カレー屋で定食食べてたんです。スーツ着ていたんですが、奥にいる客がこっちに歩いてきて、つまずいたんですね。僕のカレーの皿がひっくり返って、スーツやネクタイにかかった。カレーは洗ったって落ちないしどうにもならないです。そしたら、「すみません。弁償します」と言って、カレーを注文した。カレーはどうでもいい。俺の服を何とかしてくれよ、ということですね。
これは、ひっくるめて弁償するか、走って逃げるかどっちかでしょう。中途半端な正義感に、こっちは怒ることもできないで、終わった。そういうこと、たまにあるんですよね。

都バスに乗っていて、下りる停留所がくるので、停車ボタンを押したんです。そしたら、いい歳をした男が「俺が押そうと思ったのに!誰だ」という形相でバス中を睨みつけるんです。子供じゃないのに、ボタン押したくらいで……。何かが原因で、刺されて亡くなる人って、あるじゃないですか。降りる段になったら、そいつと俺だけでした。寝たふりして、降りなかった。なんで悪い事しているわけではないのに……情けない。

携帯電話って、20~30年前なかったじゃないですか。今は、普及して、持ってないと不安になりますね。
町内の告別式に行っていて、棺が霊柩車に納められ、扉が閉まる、しーんとなった時に、見送りに立っている女の人の携帯の着メロが、おもちゃのチャチャチャ、とはじまって、その人が携帯のしまい場所がわからなくなって、パニックになっているのね。ほんとは手に持っているんだけど(笑)、バッグの中を探し回っている。
出棺におもちゃのチャチャチャ、はないでしょう。だって「おもちゃは箱を飛び出して……」ですよ。人間の習慣は、恐ろしいもので、皆、合掌していた人たちが、チャチャチャ、とやっている……嘘です(笑)。

好きな仕事でないと続かない

好きな仕事って、例えば、銀行員が人気です。しかし、本当に銀行の仕事をやりたいか。子供の時からお金を数えるのが好きだったか、というと違うと思います。給料が高い、とか、見栄えがいいから、という理由で、銀行員になりたい人が多いです。

ところが、出版関係、作家さん、書店員さんって、好きでないとできない仕事なんですよ。編集の仕事って、大変じゃないですか。とくに編集プロダクションさんなど大変です。僕、テレビの仕事しているのでわかりますが、制作会社って大変。金は叩かれ、スケジュールはきつい。
でも、番組作りに、本作りに携わりたい、現場にいたい、好きな人がやる仕事です。大変な時代に、編集者も、書店も本を売りたい。本が好きな人がやりたい仕事なんですね。
雑誌の仕事、本作りの仕事、素晴らしいではないですか。ぜひ、好きな仕事を全うしていただきたい。関係者のひとりとして、そう思います。
 
『おけら長屋』は、江戸中期から後期の長屋の人情ものです。10巻まで、53話入っているんですが、本当に勉強になる。1つだけ言えるのは、今より心が豊かなんです。
町人は長屋に、4畳半に家族4人で住んでいる。何にもないんです。江戸は、火事の町が前提ですから、宵越しの金はもたない。『江戸っ子の生まれそこない金を貯め』という川柳にもあるように、金にこだわるのは野暮。金を貯めないのは、火事で燃えちゃうこともあるし、江戸の町人は、職人の町なんですね。腕さえあれば、やっていける。金を貯めるなんて、江戸っ子の恥。ということで、ものをもたない、というエコスタイルは、江戸時代に確立されていたんです。それでやっていけるということです。

でも、人間、豊かになると、ものを持ちたくなる、ブランド品がほしくなる。江戸の人たちのほうが、心が豊かだなあ、と思う訳です。たとえば、四季の過ごし方があって、夏をどう乗り切るか、目で金魚を見て、風鈴で音を聞いて涼しくなる、江戸の屋敷は、全部ふすまになっていて、どこからでも風が通る、軒下があって風が通る。

 いろんな工夫をしていけば、日本人の生活は、豊かになるな、と、思う。夢が1つかなうならば、文化文政時代に生まれたかった、と思います。たいへんなこともいっぱいあるのでしょうが、町人として、今より、心が豊かな生活が送れるな、と思います。そしてぜひ、吉原に行ってみたかった(笑)。

 江戸っ子の特徴は、善悪を、つまり、いいか悪いか、の判断は、「粋か、野暮か」という基準でした。江戸っ子は、野暮だって言わるのが、いちばん嫌ったんです。万死に値することなんです。たとえば、女性の方には、耳障りかもしれませんが、吉原に1回行って、何かするわけじゃなかった。1度目は面通し、2回目はなに、とかしきたりがあって、おれは金をはらっているのに、なんていったら、これは野暮の骨頂、と言ってばかにされた。

江戸っ子は、1回、懐から金を出したら、ぜったい下げない、粋と言われるには、何が必要か、というと、これ、やせがまん、なんです。生きていくには、やせがまんしないと生きていけないんです。

今の世の中は、そうじゃなくなってきている。
 そうした日本人がもっていたDNAが忘れ去られていくことが、悲しいなと思います。
この本を読んでくれた人が、そんなことを思い出してくれたらと思います。

人間には「品行」と「品性」がある

この本にはテーマがありまして、「人間には品行と品性がある」ということ。品行が悪いのはどういう人かというと、酒癖が悪いとか、度重なる浮気が発覚して、奥さんに逃げられたとか、これは品行が悪い人のこと。人をだましたり、裏切ったり、貶めたり、人の手柄を横取りするような人は、品性が悪いんです。

どういう友だちがいいかというと、品行が悪くて、品性が悪い人ってとてもつき合えませんね。だけど品行がよくて、品性もよい人と友だちになっても、面白くないんです。
友だちになって一番おもしろい人は、「品行が悪いけど、品性はよい人」こういう人がいいんです。酒飲んで、ばくちもするし、「あいつ、どうしようもないな」と思うけど、人を裏切ったり、貶めたり、えげつないことは絶対しない人。品性がいい人です。ぼくは、品行が悪くて、品性がよい人間をめざしているんです。

おけら長屋に出てくる人物は、そんな人間なんです。自分で書いて言うのもなんですが、本人が読んで泣けるんです。いま、世の中、逆転していますね。品行はいいけど、品性が悪い。「文春砲」みたいなやつね。浮気をするのは品行が悪いんです。でもそれを暴くのは、品性が悪いんです。浮気なんかしたって関係ないんだから、世の中どこにでもある話です。
人間は聖人君主ではないんだから。だんだん宗教の教祖みたいになってきましたが、少しでも品行の悪い人を多くして、品性の悪い人を少なくする、こうなると、世の中が楽しくなるんです。
一見、品行が悪い人、でも裏切らない、そんな人とのつき合いは、楽しいじゃないですか。 週刊誌も売れないので、仕方がないのか。だけど日本人の1人として、そう思います。

 おけら長屋には、1人、知的障害をもった人がいるんですが、どうやって、共存していくのか、というのも1つのテーマになっている。つまり、疎外しない、仲間に入れて、仲間外れにはしない、これは、本当の優しさではないか、と思うんです。
 人間として、八割くらい、ちゃんとしていれば、いいじゃないですか。百を求めても、ろくなことないですよ。

自分の言葉で素直に伝える

きょうのテーマ『小説も編集も、目の前で話すように、人情の機微を語ること、かな』ですが、脱線続きで、テーマを忘れていましたが、そうですね、文章を書く人はしゃべりも文章的になってしまうのですが、簡単にいうと、自分の言葉で、伝えたい内容を、素直に、言いましょう、ということ。

いわば、「プロポーズ」です。女性って、どういう言葉でプロポーズされたいのか。
文章で書かれたような言葉で言われても感動しないでしょう。そうではなく「一緒になってほしい」と自分の言葉で、ばしっと言う。ガツンと言うと、相手の心に響くんです。
男がプロポーズしている最中に「それで何が言いたいの?」と女性がいう。よくあるんですよ。それは言葉が生きてない、ということなんです。

たとえば言葉だけでない。『ニュースステーション』というテレビ番組で久米宏さんがよく使った手法は、事件があった時、コメントを言わず、ペンをぽんと投げる。「あ~あ」と。あきれた、ということが伝わる。文章形式にものを言っても、人に伝わらないことを知っている。
 だから、最初にもどると「この本、売りたいんです」と自分の言葉で訴える。熱意を見せましょう。文章形式でものを言っても伝わらない。飾らない、ということなんでしょうね。
 
『本所おけら長屋』の第1巻を書いた時に、会議が通らなかった。でも、編集者が、絶対に売れます、という熱意を示してくれて出版できた。
 1冊の本を作るのは、編集者なんです。出版社ではないです。編集者の人とタックを組んでいく。編集者、作家、版元にいる営業さんや、宣伝物を作ってくれる人たち、いっぱいいます。その人たちが全員、『チームおけら』です。この本は、自分たちが作っているんだ、という意識。毎年12月に、この人たちを集めて、僕が、招待して、忘年会をやります。来年の目標は○万部までいきましょう、エイエイオー、みたいにやるんです。この本が売れたのは、自分も関わっているからだ、と思ってもらえるようにする。

昔の青春ドラマのように、密に相談し、人間関係もちゃんと作ってやっている。おけら長屋に関わった人たち1人1人が、この本に関わっている。本が売れたのは、自分が関わったからだ、と。すると皆さんもこの本、売ってくれるんです。営業の人が、自腹で、5冊位いつも持っていて、マッサージなんかに行って「お仕事何してるんですか」と聞かれる。こういう仕事している。「時代小説読む?」「読んだことないです」「ぜひ読んでみて。面白いですよ」と1冊プレゼントする。すると2巻目、3巻目と買ってくれる。そう信じて、応援してくれる。

 こういう人と一緒に仕事をしていくのは本当に大切で、「俺たちはチームおけらなんだ」となると、ほんとにいいチームができる。1杯飲むとなっても、いま出版社も厳しいのでお金出ないんで、編集者も厳しい。だけど、そこは、何とかいろいろ考えて、立ちのみ屋だっていいじゃないですか。人間関係を作って深めていくことが大切だなと思います。(了)

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