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基礎から学ぶ編集講座
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第一回 編集プロダクションフェア

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◎会場の入り口に立った「編集プロダクションフェアの看板」

【開催日】2015年10月29日(木)
【時 間】15:00~18:00
【会 場】コミュニケーションプラザドットDNP2階
【構 成】
(1) 編集プロダクションの活動紹介
  (社)日本編集制作協会(AJEC)に加盟する編集制作プロダクション
(2) パネルディスカッション 16:00~17:30
  「編集力が時代を創る―出版社と編集プロダクション」
パネラー:今井真志氏(西東社・取締役編集統括部長)
___:柿内尚文氏(アスコム・取締役編集部長)
___:和田史子氏(ダイヤモンド社・書籍編集局第三編集部編集長)
___:檜森雅美氏(アーク・コミュニケーションズ 代表取締役)
(3) 特別講演会 講師:外山滋比古氏 18:30~19:30
  「出版メディアは生き残れるか―今こそ“桃太郎”の時代」

初めての編集プロダクションフェアということで、お客さんが集まるのかどうか心配しましたが、開場時間になると続々と人が集まり、会場は人でいっぱい! 会員社のブースの間は満員電車状態で、肩と肩が触れ合うほどの盛況となり、延べ500名ほどの来場者で大盛況でした。


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パネルディスカッション/16:00~17:30

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◎「パネルディスカッション」が始まりました

開場して1時間ほどたってから、いよいよパネルディスカッションが始まりました。定員80名ほどのところに100名以上の受講者であふれかえりましたが、混乱もなくスムーズにディスカッションが進行しました。

①はじめに、編集プロダクション(以下、編プロ)のパネラーである檜森氏より、編プロの大まかな歩み、実態、動向などについての話があった。

②次に、版元パネラーの皆様に、
・編プロといつ、どんなきっかけで仕事を依頼するようになったか
・どういうおつき合いをしているか、版元と編プロの役割分担など
・依頼してよかった点、期待はずれであった点、トラブルになったことなど
事例を話していただいた。

③次に、4人のパネラーに、編プロと組んでうまくいった事例、成功した作品を1冊持参していただき、具体的な受注内容や作業進行、期間など、くわしくお話いただいた。

④さらに、今後、版元パネラーと編プロパネラーの皆様に、それぞれに今後、期待すること、いま、出版界に求められている「編集力」とは何か、われわれ編集者はこれから、どうあるべきか、についても語ってもらった。
 

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◎真剣な顔のパネラーたち

西東社の今井氏は、「編プロさんとは、わが社の本の95パーセントくらいおつき合いしてもらっている。実用書が中心で、1万部は出る本づくりをしている。今後も編プロさんとは共同で、時間とお金をかけた本、クオリティーが高い本を作っていきます」とのこと。
アスコムの柿内氏は「以前はインタビューを1時間半×数回で1冊、本をつくるやり方だったりしたが、今は発売時期を決めないで、時間をかけてつくる方針。松岡修造の本をじっくり時間をかけて『人生を強く生きる83のことば』など3冊ほどつくった。3冊で40万部売れている。弊社の編集者ひとりと編プロの力のある編集者さんと組んで仕事を進める場合が多い」とのこと。
また、ダイヤモンド社の和田氏は、編プロ出身者で、両方の立場を知るということで、今年出版した、『成功する留学』というムック本を事例として話をしていただいた。「出身である編プロさんとのパイプもあり、版元編集者と編プロ編集者2人と3人でチームを組み、企業取材もチームで行い、版元がもつ旅の情報もうまく駆使して、いい関係で本づくりをしました」とのこと。

やはり、時間をかけて丁寧に本作りをしていけば、読者に届く本はできるのですが、最近は業界の実情として、委託費の減少、編集期間の短縮化など、版元と編プロの間ではなかなか解決しにくい問題もあり、議論も白熱しました。

最後に、今後の在り方に関して、編プロの代表として、檜森氏から「最近は、有能な人がこの業界に入ってきづらくなっている。編集の仕事の魅力を発信する力が弱いのではないか。人の力で作っていく業界だから、著者さん、ライターさん、デザイナーさん、それぞれ、ある種、生活していける基盤、ゆとりがないと、やっていけないのも事実で、残念なことに経済的な理由で、この業界を離れる人も多い。皆さんご存知のように、中古書店で2~3億円分の本が売れています。図書館では年間7億円。新刊で売れるより、貸し出しが多い。つまり決して活字離れではないんですね。音楽業界では、2次、3次利用という掬いあみがあります。書籍も、ISBNがあるわけですから、新刊本は、たとえば図書館で借りる場合1冊50円払うとかすれば、500億円が業界にはいってくる。そのようなことなどを業界全体でアピールしていかないといけない」という提言がありました。


特別講演会/18:30~19:30

【テーマ】出版メディアは生き残れるか――今こそ“桃太郎”の時代
【講 師】外山滋比古氏
(プロフィール/1923年愛知県生まれ。東京文理科大学英文科卒。1951年「英語青年」編集長。次いで「英語文学世界」「月刊ことば」を創刊、編集。その間、1956年東京教育大学助教授、1968年お茶の水女子大学教授。1989年同大学名誉教授、同じく昭和女子大学教授。1962年文学博士。著書『思考の整理学』『エディターシップ』など多数。
 

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◎さあ、外山先生の講演の始まりです!

今年6月ごろ、文部科学省で文科系の学部の再編成や廃止も含めて通達があった。国際競争力が充分でない、という理由からですが、根拠はありません。理系がそうかというと、そうではない。マスコミが声をあげないということは日本の文化水準が低い証拠。
わが国は、近代ではヨーロッパはウサギ、日本はカメである。そしてウサギが昼寝してくれれば勝てるかもしれない、という幻想を持ってしまった。
今の欧米の基本は、ものを分析すること。物質→分子→原子のように、細分割していけば、本当のものが見えてきますか? 文科系は、もともと分析と無関係、記憶を蓄えて、競争はしない。人文系は、平和で、神話的である。

人間の本当の生活は、何をすべきか追求すること。一番近いのが、政治。二番目に出版・編集。編集はバラバラなことを集めて新しいものをつくることです。
「編集」は欧米から伝わらなかった。手作りで、のりとハサミでくっつけただけ。作家であるラフカディオ・ハーンは、元来は新聞記者、日本の記者に教える役目だったが、難しかった。
大正時代、編集的な感覚を持った独創的な人、菊池寛が現れた。国際水準的に一流の編集者。作家でいて編集者、二重性格をもつ。『文芸春秋』ができて、編集感覚の成果が出た。それまでは、高額な支払いをして有名な作家に書いてもらって終わりだったが、心を動かす随筆で全体を構成した。座談会という世界に例をみない一種のシンポジウムをこしらえた。創刊号から2号、3号と重ねて10万部を売った。座談会はそれぞれが親和して進んで自分の考えを言う、そして新しい考えを引き出す新しい形をつくった。ヨーロッパは座談会の面白さを知らない。
元々日本は編集ということに関して世界で最も早く強力なすぐれた文化を持っていた。『万葉集』のようなもの、ヨーロッパに1つもありません。20万首、天皇から名もなき乙女の歌まで入っている。千年も読み継がれており、一種の奇跡である。「勅選和歌集」は、天皇の名において集められたアンソロジーです。『古今集』ほか36回もつくった。俳諧も元々ひとりではなく、連句という何人もの人が個性を出してつくった即席の、世界唯一、最古の合作詩歌だった。ヨーロッパはまだ野蛮な時代だった。
出版における指揮者、マネージャーである編集者は、最近、勉強が足りない。優れた編集者は、優れた作家、書き手を見出す力をもつこと。

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◎大きな声で、編集者論を語る外山先生

そして、どうしたら、異質なものを調和させて、個々の力よりも上に持っていくかを考えること。多少の雑種のほうが、純粋なものや単純なものより、複雑で面白い。簡単には理解されないが、優れた編集は歴史を変える。

編集のケミストリーということがある。面白くなくてもうまく編集すればよい。面白さのケミストリー、優れた触媒、大正時代にすでにありました。混合文化は純粋より面白い。AとBはそのままでは化合しない。そこで触媒です。自然では触れ合わない、ある編集者が現れて類をみない融合、反応を起こす。大発見だった。常識的な教育を受けた学歴のある人は触媒になることを望まない。縁の下の力持ちを好まない。
今のところ、編集的感覚の頂点は、触媒だと思うが、少し足りないところがあると、長いこと考えた。それは、この先「偶然」というものを使って、新しいものをつくる、意図しないでチャンスを捉えることにより、たいへん大きな変化、創造が生まれる、つまり「セレンディピティー」が大事。自然科学の世界で使われた。不安定だが新しいものを生み、発見、発明、創造ができる。日本では文科系の人は知らなかった。10年くらい前に、ノーベル化学賞か物理学賞を受けた学者が使用して知られるようになった。

本日のテーマの「今こそ桃太郎の時代」ですが、「桃太郎」の原理は、敵対関係にあるサル、キジ、犬を、きび団子というご褒美で、力を合わせて鬼退治をした。平和で高度なデモクラシーをつくった。そして、桃太郎の背後にある考えも生かされている。川から流れてきた桃から生まれた桃太郎。つまり、近親婚が多かった時代、なるべく遠い関係の「流れてきた桃」を受け入れることで、新しい血を入れる。桃から生まれた桃太郎は、気は優しくて、力持ち。経験からわりだした、見ず知らずを迎えいれることで、素晴らしい後継者ができたということです。
若い人が学校と下宿を往復するだけではいけませんね。編集者も閉じこもっていてはだめなのです。必ず1日に1回は、何人かでおしゃべりをしてみましょう。そこには新しい発見「セレンディビティー」があります。
当面問題となるものは、コンピュータ(人工頭脳)がわれわれを追い越すのでは、という危機。コンピュータはウサギ、人間カメは競争してはいけないのです。カメはカメとして、ウサギにできないこと、新しい創造をする。それができるのが編集者です。

今年92歳になられる外山先生が、元気な声で私たち編集者に檄を飛ばしてくださいました。

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