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異色のカタログ雑誌「通販生活」のつくり方 株式会社カタログハウス  広報室  倉林 豊 氏

カタログ通販といえば消費者が無料で配布されるカタログを閲覧し、気に入った商品を購入する通信販売サービスが一般的だが、なかでも独自の切り口で商品訴求を行っているのが、カタログ雑誌「通販生活」だ。
「通販生活」はカタログではあるが、れっきとした情報誌でもある。誌面の中身は文化人や著名人が親しみやすい口調で使用感を語る商品情報があるかと思えば、その一方で原発や環境問題を取り上げた社会派な読み物、そしてつげ義春やネコマンガなどのカルチャー記事と、一般のカタログ雑誌とは明確に一線を画した切り口で読者に情報を提供している。その「通販生活」がもつ独特の世界観はどこからきているのか。その秘密を、「通販生活」の発行元である株式会社カタログハウスの広報室 倉林 豊 氏に聞いた。


株式会社カタログハウス 広報室
倉林 豊氏 Yutaka Kurabayashi

1965年生まれ。法政大学社会学部卒。89年㈱カタログハウス入社。
商品開発部、編集部(商品コピー、読み物編集)を経て現職。

他社との差別化の追求から生まれたカタログ雑誌

「通販生活」は一冊定価180円しますが、一般のカタログは無料で配布していますよね。なぜ、御社は有料で販売することにしたのでしょうか?


そもそもの理由は単純で、カタログを有料の雑誌扱いにすると、送料が安い第3種郵便で郵送できたからです。戦後、カタログ通販が日本に定着していったのは70年代後半から80年代にかけてなんですけれども、当時のカタログはだいたい無料でした。「通販生活」を創刊したのは1982年ですが、そのころになると、さまざまな無料のカタログが通販会社から各家庭に送られてくる状況になっていました。そこで、他社の無料カタログに埋没しないように、あえてカタログを有料化したわけです。
第3種郵便物の適用を受けるためには、「雑誌の中の広告のページ数は読み物のページ数を超えてはいけない」という条件があります。ということは、他社の無料カタログよりも少ないページ数で、なおかつ、お金を払ってでも読みたくなる魅力的な通販ページをつくらなければなりません。有料にしたことで必然的に、ただ商品を並べるだけのカタログではなく、読者が引き込まれる商品情報がつまった誌面をつくろう、他の一般雑誌にも引けを取らない雑誌にしていこう、という編集方針になっていきました。

なるほど、御社の独自のスタイルは他社との差別化という視点から生まれたものなんですね。


そうですね。「差別化」という言葉は社内でもよく使います。商品の差別化、売り方の差別化など、常に「いかに他社と違うものをつくるか」ということに心を砕いています。「企業個性」という言葉も社内では使いますが、読者に「企業の個性をどう見せるか」「たくさんある通販カタログ誌の中からどうしたら選んでもらえるのか」ということを常に考え続けてきた結果、今のような誌面になっていると思います。

「通販生活」には商品情報とは全く関係のない読み物記事も多く盛り込まれていますが、それも差別化のためなのでしょうか?


はい。先ほどもお話したように、もともとは第3種郵便物の条件をクリアするために、読み物記事を入れざるを得なかった、というところから始まったわけですけれど、考えてみたら、広告ページは自社の通販ページで、外部から広告を出稿してもらう必要が全くない。したがって、編集者は非常に自由な誌面づくりができます。それが他の雑誌との大きな差別化になっていると思います。

とくに読み物記事は政治的なものが多く見られますよね。それはどういった意図からなんでしょう?


「通販生活」では憲法や原発の問題も、環境問題も、かなり早い時期から何度も誌面で取り上げてきました。今年の夏号では「集団的自衛権の行使」の是非を特集しています。賛成・反対それぞれの論者を掲載して、投票ハガキをつけて、読者はどの方の論に賛成するか意見を募っています。たしかに、「通販なんだから政治的な問題なんか取り上げないで、黙って商品だけ売っていればいい」というご意見をいただくこともあります。でも私たちは、通販カタログが集団的自衛権の問題を取り上げたっていいじゃないか、と思っています。
小売りが商品のことだけでなくて、世の中で起きているさまざま問題について、企業としての考えを発信していけば、消費者には「あの会社はこんな考えなのか」ということがわかります。それは消費者が企業を選ぶ意味でも、非常に重要だと思うのです。

たしかに、それは買い物をするときのひとつの指針になりますね。環境問題であればなおさらです。


環境問題を例にとれば、水道水の汚染を減らす浄水器とか、紫外線から身を守るUVカット帽子とか、環境汚染から身を守るヒット商品がうちにはかなりあります。環境汚染が進むほどこうした商品は売れていくわけですが、はたして、そんな状況を手放しで喜んでいていいのか。環境破壊をネタに商品を売って儲けたぶん、企業として環境に対してやるべきことがあるのではないか、という反省から、過去に販売したフロン製品を無償で回収したり、できるだけ環境負荷がかからない商品を選ぶ、といった取り組みを続けています。
また、カタログを大量に印刷しているわけですから、森林資源の問題に無関心ではいられません。「通販生活」では古紙と廃材をパルプにした専用用紙を使っています。その時々の原材料の調達状況によって古紙や廃材の配合率が変わるので、毎号、その比率を誌面に載せています。
環境対策で企業個性を打ち出すことは読者の支持を得やすいと思いますが、意見が割れる政治的な問題だと、そういうわけにもいかないですよね。企業が主張するほど、共感できないお客さまは離れていってしまう。これは仕方のないことだと思います。創業者の斎藤は「万人に好かれる企業なんてあり得ない」と言っていますけれど、こういう「通販生活」の個性を面白がってくれて「あそこで買い物してみたい」と思ってくださる方と、長くお付き合いしていければ、と考えています。

そこには読者を啓蒙しようという意図はないんですね。


読者を啓蒙しよう、という意識は全くありません。私たちはあくまでも小売り業なので(笑)。たしかに、原発については創刊当初から一貫して反対してきましたし、憲法については明確に護憲の立場を誌面で表明してきました。ただし、編集部の主張は別として、是非や賛否が分かれる問題については、できるだけ、さまざまな意見をバランスよく載せるようにしています。「編集部はこう考えてみましたが、読者のあなたはどう思いますか?」というのが私たちのスタンスだと思います。


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