• 入会申し込み
  • 仕事の依頼
  • 会員社求人情報
  • 業務契約について
  • 業務委託基本契約書(ヒナ型)
基礎から学ぶ編集講座
EDITORIAL MAGIC EDITORIAL MAGIC 会報の最新号はこちら
取材力「情報収集とインタビューの技術」

「どれだけ相手の心に寄り添えるか」


箕輪 幻冬舎の箕輪と言います。少し遅れてしまってすみません。本当は1時間半前についていたのですが、あまりにも早すぎて。僕、トゥクトゥクというタイの乗り物で移動しているんですけど、明治大学の前で待機していたら、若者が「写真を撮ってくれ」と集まってきて。面倒くさいから焼鳥屋でご飯を食べていたら、遅れてしまいました。本当に心より反省を申し上げます。
 きょうは編集者の人が集まっていて、見ていると僕より立派な方々がいるので何を話せばいいのか分かりませんが、最近炎上している幻冬舎の出身として、出版文化を守るためにお話しできればなと思います。1時間半くらいだと思いますけれども、頑張りますのでお手柔らかにお願いします。(拍手)

 小林 どうもありがとうございます。先ほど司会者から紹介がありました、編集制作協会理事長の小林と申します。きょうは箕輪さんのご講演ということで、できたらインタビュー形式でやりたいということでしたので、私のほうでいくつか質問をさせていただきながら進めさせていただきたいと思います。

 箕輪 よろしくお願いします。

 小林 きょうは私のほうで三つのテーマを掲げました。一つは、今回のチラシにもありますけれども、著者の口説き方と言いますか、著者をどのように見つけていくか、本をつくってもらえるようにしていくかというテーマがあります。2番目は、編集者とは何かということで、箕輪さんは新しい編集者像として今ブレイクされておられますけれども、これからの編集者はどうあったらいいのかな、少しお話しいただければと思っております。3番目は、これからの出版ビジネスとはどうあったらいいのか、そのようなことを質問させていただければと思っております。
 この三つについては、皆さんご存じのように、箕輪さんは『死ぬこと以外かすり傷』という本や、電子書籍の『書籍編集者を目指すあなたが読むべき本』を出されて、メルマガやSNSなどでいろいろ話しておられますので、また同じことをしゃべらされるのかと思われるかもしれませんけれど。

 箕輪 めちゃめちゃ思っています。僕の不勉強ですけれども、これはそもそもどういう会でしたっけ。

 小林 それではちょっと説明いたします日本編集制作協会という編集プロダクションの団体がありまして、今期で36年になります。編集教室というのは、もともと編集プロダクションの若手編集者の勉強会としてスタートしました。今期14期になりますが、13年ぐらい前から編集プロダクションの社員だけではなく、出版社の方、あるいは編集を志しておられる方に編集の技術やノウハウを伺っていただこうということで、現在、年8回やっております。
 去年は「新しい編集技術を学ぶ」ということで、デジタル編集ツールを使って新しい編集技術の勉強会をやりました。今回の14回目は「一流の編集者から編集を学ぼう」というテーマを掲げました。今年は業界で頑張っておられる一流の若手の方に、編集論や出版論、業界論を語っていただこうということです。
 第2回目は、若手の編集でいま脚光を浴びている池田るり子さんも呼んでおります。きょうはトップバッターとして、協会で募集しましたら100人ほどの希望者がありまして、だいぶお断りをしております。このように満席になっておりますけれども、箕輪さんにお話をしていただければと思います。

 箕輪 頑張ります。ありがとうございます。

 小林 僕もちょっと箕輪さんのことを調べてきたのですけれども、きょうは朝8時半からお忙しくて。有隣堂さんで、朝からコルクの佐渡島さんとバンクの光本さんと対談されたそうですね。最近出された『実験思考 世の中、すべては実験』という本を中心に具体的にお話をしていただいたほうがいいかと。また本に書いてあったり、違うというふうになってしまいますので。すみませんが、そういうことで。
 では、著者はどういった理由でスタートしたのかということからお願いいたします。

 箕輪 『実験思考』という本はNewsPicks Bookの最新刊です。著書は、㈱バンクという会社で「CASH」や「TRAVEL Now」というサービスをやっている光本勇介さんという人です。NewsPicks Bookをご存じということで話を進めますけれども、NewsPicks Bookというレーベルの編集長として僕が考えているのは、ビジネスがうまくいっているとか、時価総額がいくらとかいうことは別に関係なく、新しいことや見たことのないことに挑戦している人を僕は著者にしたいなと思っています。
 そういう意味でいうと、光本さんは「なんだよ、そのサービス」というサービスを毎回マジシャンのようにつくる人で、前から魅力的だと思っていました。著者を口説くという話でいうと、根本的な話に戻ると、編集者の仕事は三つあると思っています。魚の料理に例えると、釣りをする。魚を釣るということ。2番目にめちゃめちゃいい料理をすること。3番目が、きれいな器をいいお店で提供するということで、「釣る」「調理」「提供」という三つに分かれていると思います。全部できなければいけないのですが、著者の口説き方という意味でいうと、釣るという話だと思います。それに関していうと、編集者のレベルや段階によりますが、いま僕が一番強いのは、生意気ながら、釣る必要がないということで、ある種釣り堀をつくっているということです。光本さんにせよ、ホリエモンにせよ、落合陽一にせよ、前田裕二にせよ、1日に何件も出版オファーが来ます。別にあの人たちは本を出すことが本業ではないので、基本的には受けられない。
 そんな中でなぜ箕輪のオファーは受けてくれるのかというと、釣り堀なわけですよ。「おい、おいおい、お願い」という感じ。なんなら一緒に釣り堀で泳いでいる感覚です。だからできるというのはあります。段階を経てしゃべらせていただかないと、「それはおまえだからできるのだろう」とか、「おまえは特別だろう」と言われてしまうかもしれませんが、はっきり言って口説くってなかなか難しいです。いわゆる出版社の人に口説かれるって、それが日常化している人にとっては本当に何でもない。企画書が秀逸だとかはあまりないです。
 でも、僕の場合は一緒に登壇したり、一緒にビジネスしたりするので、そこでごはんを食べたり飲んだりしたときに、「ちょっと俺と本をつくってくださいよ」と言える。ある種フラットな中で言えるので、釣りという作業はめちゃめちゃ簡単です。ただ、簡単だからといって、簡単な人に俺は本を出してほしいと思わないです。要は、本を出す気がまったくない人に本を出してほしいと思うから。
 光本さんの今回の本でいうと、2人でベロベロに酔いながら、「光本さん、マジ面白いから、本つくってくださいよ」と言ったときに、「0円でばらまかせてくれるならいいですよ」と言ったのです。普通の編集者は「それは絶対無理」と言うんですよ。まあ普通に無理だから。でも俺は「それ全然オッケーなので、やりましょう」と言って、とりあえず進めたのです。
 それで、0円でばらまくなんてあり得ないからうやむやにしようと思っていたら、本の校了直前、光本さんに「そういえば、0円でばらまけるんでしたっけ」と言われて。あー、面倒くせえ、覚えていたか、酔っていたくせに、なぜこの人は覚えているのだろうと思って、「一回話しますか」みたいになった。でも校了直前だから、部決と言って、うちの会社は部数と価格を決める絶対的な会議があるのですが、それが終わっていたんです。1400円、1万8000部というのは決まっていた。
 だからそのあとなんですよね。僕は忘れていると思って、ずっとサラッといこうと思っていた。でも、0円でばらまきたいというのを覚えていたから、打ち合わせをしたときに、「0円でばらまきたい」と言って。「0円って、いいですけど、0円の本をつくったら、本屋さんは売っても0円だから、売ってくれなくないですか」と言ったら、「確かに」「じゃあ、僕が内緒で本屋さんに持っていって、勝手に棚に並べますか」「それ、できるんですか」「できないけど、やったら話題になるでしょうね」みたいな話から始まった。「じゃあ、原価はどうですか」と言われて、原価はいくらだろうと思って、すぐ社内に連絡した。その辺から社内がざわつき始めるんですよ、「箕輪がまた……」。原価を聞いている。なぜ。あいつ、また変なことをやろうとしているんじゃないかみたいな感じだったんだけど、390円ぐらいだと。「390円だったら、ありっすか」みたいなことを言われて、「原価だったらありですね」とか適当なことを言った。そこから話すと3~4時間かかるので話さないですけど、原価で売ると決めて、原価で売るなら、電子版は原価がかからないから0円だろうと。だから0円で。
 電子部署の部長とは仲がいいのですが、NewsPicks Bookは毎回電子書籍がめちゃめちゃ売れるので、毎月の達成予算として計算しているのですが、「今回0円で売ります。いいですよね?」と送った。その人は韓国にいたから、時差で全然返信が来なくて、「じゃあ、オッケーということですね」といって、それはとりあえずオッケーにした。
 原価で売るのも、社内は絶対に駄目だと。取次がどうとか、書店がどうとかというのですが、幻冬舎って、良くも悪くも見城徹という社長の絶対主義の会社だから、見城さんがやると言ったら誰も逆らわないのです。だから僕は巧妙に、営業に対しては、見城さんがオッケーと言ったんじゃないかという雰囲気を醸し出した(笑)。そこもうそではないんです。見城さんには、「光本さんという超面白い人が、超革新的な売り方をしたいと言っているので、やりますね」というと、見城さんも「いいね」というんですよ。
 それでオッケー取ったということにしておいて、見城さんには「原価で売りたいんです」と言ったのですと。「こうこうこうで、こういう仕組みで、絶対に大丈夫だと思うので、今回実験させてください」と言って、営業と法務と全部握って、今度は見城さんに持ち帰ってざっくり話したら、「営業とか、全部に相談したらまったく問題ないということなので、いけそうです。ありがとうございます」「おお、そうか」となって、どうにかこの本ができた。
 どれだけの人が知っているか分かりませんが、この本はめちゃくちゃ話題になって、Amazonの総合1位になった。「本を原価で売るなんてあり得るの?」なんてニュースになったけれど、実体は本当に泥臭いことを一個一個やっているだという話です。そういうことをやると、「箕輪さんってそういうことをやってくれる編集者なんだ」ということで、優秀な起業家が集まってくれる。
 著者の口説き方でいうと、そういう実績をもって、むしろ「書いてください」と言ってもらえるところまで、生意気ですけど、どうにか来たという。でも最初は僕だって、当たり前ですけど、死ぬほど無名で、詐欺師みたいな人の本しかつくっていなかったんです。最近また本が売れているから覚えているかもしれませんが、与沢翼の『ネオヒルズ・ジャパン』という雑誌を、僕は編集経験がゼロのときに編集長としてつくった。本当に誰もやりたがらなかったので、編集長兼その本のクレジットを見たら、意味が分からないですけど、「総合プロデューサー箕輪厚介、広告部箕輪厚介」みたいな。全部1人でやったのです。本当に死にそうになって、血へどを吐く思いでやった。
 そのとき僕、本当に人脈がなかったから、与沢翼ぐらいしか知り合えなかったし、与沢翼でも必死に食らつくぐらいでやった。それが一瞬で3万部完売して、編集部に呼ばれて、見城さんとホリエモンの本をつくりたいなあと思って、見城さんにはSNSでアプローチして、反応があった瞬間、手紙をめちゃめちゃ書いた。手紙も、ここが僕の姑息なところですけれど、何かこう熱が伝わる感じで字をあえて汚く書いて、すぐ速達で送って、すぐ電話しました。それで、「一回会ってやろうか」と言われて、会いました。
 僕は見城さんのことがうそ偽りなく好きなので、著作も動画もほぼ全部見ているので話して、「その話はここに書いてありましたよね」みたいな。すべて本当に自信がありました。「おまえは本当にすごいな。本をつくったことあるのか」と言われたけど、「ぶっちゃけないです」と。ないけど、できると思うのでやらせてくださいといって、『たった一人の熱狂』は累計13万部ぐらい売れた大ヒット。見城さんの単著の中では一番売れているんじゃないかな。これをまず処女作で出して、同時にホリエモンも口説いていました。
 ホリエモンはそういう熱量の手紙が大嫌いだと分かっていたので、それは想像力で。これは僕がよく言うんだけど、人を口説くという意味においては想像力が一番大事です。よく誤解されるけど、「箕輪さんは見城さんに熱烈に行ったから、私も誰々に熱烈に行こう」というのは本当に駄目な発想です。俺が見城さんに熱烈に行ったのは、熱があったからという単純なものではない。熱があるのはこっちの都合じゃないですか。でも、あっちが何を求めているかというのをめちゃめちゃ考えなきゃいけない。
 見城さんは熱を求めている。ホリエモンは効率を求めている。ホリエモンはそのとき、『ゼロ』というヒット作の直後だったから、出版社が20社ぐらい行列待ちをしていたのですが、『逆説の仕事論』というタイトルで、イノベーターと呼ばれる武田双雲さんとか佐渡島康平さんとか8人に僕がインタビューして、それに対するホリエモンの解説を付ける本にしたのです。それだったら、移動中にスマホでできるんですという口説き文句で企画書だけ送ったら、20社全部通り越して、「それ、すぐできそうじゃん」ということで来たの。それが本当の想像力です。
 僕に対してもよくいるんだけど、「俺、こんなに好きなんですけど」とかは最低な行為です。恋愛で考えたら当たり前だけど、相手が望んでいないことを押し付けるのは自己都合なので、相手が何を求めているのかをめちゃめちゃ想像する。ホリエモンだったら手紙じゃなくて効率的な企画でしょう。見城さんだったら、とにかく手紙を熱烈に書くことでしょう。相手の気持ちが憑依するぐらい徹底的に想像する。
 僕は人を落とせないことは絶対にないと思っています。圧倒的な想像力と圧倒的に好きということ。この二つがあって落とせないことはないです。相手の都合で、今は本を書く時期ではないとかはあっても、目を見て、この人は自分が自分のことを思っている以上に自分のことを分かってくれる。本当にこの人好きだなと分かれば、誰だって「じゃあ、いつか仕事をしましょう」となる。だから、その二つで僕はどぶ板でやっていって、それが今の地力になっている。そうやって実績を出して、去年NewsPicks Bookを創刊して1年で100万部以上売った。そうなったら、もう釣り堀みたいになって、「箕輪さん、本を出してください」と逆に言われる。でも、それだとつまらないから、毎回新しい仕掛けで、原価で売るみたいなことをやっているというのが今の状況です。




小林 次は、編集者は今後どうあるべきかということですが、今はみんな本づくりで苦労されていますけれども、いま箕輪さんご自身は。

 箕輪 苦労はしていないですよ。皆さんが苦労している? 僕は本当にウハウハです。もうかってしょうがない。

 小林 そうじゃなくて(笑)。いわゆる編集者は本をつくるという考え方がありますが、箕輪さんの場合はつくるが半分、売るのが半分ということを言われていて、つくると同時に販売もデザインも考えておられる。その辺のことをちょっと。そういう編集者について。

 箕輪 もっと根本的なことをいうと、あらゆる職業というのは停滞しがちです。すべての職業はそうですが、編集者は特に停滞しがちで、そこがすべての根本の悪だと思います。僕はあまり関わらないようにしているのですが、文芸の世界、小説の世界は本当に時が止まっているなと思っています。あまりにも新しい人が入ってこない。全然キラキラしていない。偉そうな重鎮たちがワーワー言っている。もうかりもしない。地獄ですよ。ああいう村は、早く上の人たちが退場しないと刷新できない。
 そういう業界じゃなかったら、若い人が来るからどんどん塗り替えられるけれども、もうかりもしないから若い人も入ってこない。だから何も新しい変化が起きない。
 これは笑い話ですが、鈴木おさむさんから「直木賞を取りたい」と言われて、いま小説を一緒にやっているのですが、直木賞を取ったことがある編集者に聞いたら、「まずは箕輪君がやっているということを伏せようか」と言われた。俺がやっていると言った途端、どんなに作品がよくても絶対に取らせないからと。あんな猛獣みたいなやつ、こっちの村に入れるわけがないじゃんという。取ったあと、実は僕でした、ジャジャーンとやれば一番いいじゃんと言ってもらいました。その人は理解がある人だから言ってくれたのだけど。ビジネス書も実際はそうだけど。
 そういうところが本当にある。出版社とかは本当にそうです。なぜそうなのかというと、テレビ局もラジオ局もそうですが、本当に意味分からない業界で、新卒採用のハードルが異常に高い。新卒採用で受かったら、ほぼ絶対クビにならずに定年までいく。そいつが優秀なわけでもなくて、単純に就職活動がうまくいったというだけで、偉そうなクリエーター面をして定年までいて、作家やタレントに偉そうな口をきく。中には優秀な人も当然いますけど、基本的には訳が分からない、まったく新しい人が入ってこない謎の村ですよ、出版もテレビもラジオも。それでずっと来て、しかももうかっていた。だからメディアの人って勘違いしていたんですね。
 でも、それがいいか悪いかは別として、SNSというものが出てきて、ドバドバドバッと急に全部崩壊したんです。別に出版社を通さなくても、勝手にみんなでnoteやブログやTwitterにアップできる。逆にキングコングの西野亮廣さんみたいに、出版社より力がある。むしろ出版社を自分でとりあえず便宜的に選ぶみたいな。単純に出版社が下請け業者のように、「出させてください」と手を上げるような。別にお願いする必要もないみたいな状況になったのです。それはテレビ局やラジオ局もそう。今までの独占の立場が消えていったのです。
 そうなったときに困っているのは、いわゆるぬるま湯で育ってきたサラリーマンクリエーターみたいな人で、「俺さまは編集者だぞ」「テレビマンだぞ」というやつ、「いや、別にあなた優秀じゃないじゃん」と言われちゃうような人たちがまだいい給料をもらいながらやっているのが現状です。そういう人たちの一番の問題は、「俺はいいものをつくるぜ」という発想なの。
 でも、はっきり言って冷静に考えたら、いいものなんてつくっていないですよ。今までライバルが就活を突破してきた人たちしかいない、何の競争もない中でやっていったら、あなたはいいものをつくれたかもしれないけれども、完全にフリースタイルでストリートファイトみたいになったとき、あなたの本は売れますかといったら、売れないですよ。大した能力も何もなくやってきたことが、いま白日の下に晒されているわけです。
 フリースタイルになったときにいいものをつくるって何かといったら、今までの出版社だったら、それなりの作家にそれなりの原稿をもらって本を出す。新聞広告を打つ。たまにテレビのパブリシティを決める。爆発的ヒットですよ。でも、今すべてがフリーになったら、そんなことをやっても売れないのです。面白いものはいくらでもあるから。活字離れとかと言っているけど、いや、違うと。おまえらが今までぬるま湯で完全な競争がないところでやっていただけだと僕は思います。
 われわれが戦わなければいけないのは、それこそLINEとか。よく言われますけれども、恋人からのLINEより面白くなかったら読まれない。そういうところで勝負しなければいけないというところに入ってきているのに、編集者は「いまだにいい本をつくっているんだけどな」とか、「分かってねえな」とか、「活字離れだな」と言うわけですよ。違う。ライバルが完全にフリーになって、ストリートファイターになったんだよと。僕は本当にストリートファイターだから、恋人からのLINEに勝とうと思ってやっているわけです。
 じゃあどうするか。分かりやすくいうと、売り方も考えますけど、もっと溶けているんですよ。売り方も内容も境目が何もないんです。本が中心にあるけれど、その周りも全部やる。例えば、光本さんとさっきの人と飲み会で本をつくると決めたら、飲み会のシーンから僕はTwitterで配信します。そうしたら、あれ、何か面白そうなことが始まっていると心を奪われるわけです。
 編集過程から全部見せていって、いざ本ができたら、なんと390円。意味が分からない。なぜかと言ったら、課金サイトがくっ付いていて、ここで課金したら光本さんと一緒に会社をつくれるよという体験まで全部ある。そういうことまで全部やって初めて本が売れるのです。
 僕はよく言うけれど、今までは可処分所得の奪い合いと言われていて、多くのメディアや多くのサービスがいかに財布を開かせるかということを考えていたのです。その人の財布を開かせて、いくら取るか。でも、そこから可処分時間の奪い合いに変わってきた。いかに時間を取るか。LINEに1日1時間使っている。Facebookに1時間使っている。Twitterに30分使っている。映画に何分使っている。仕事に何分使っている。この時間の奪い合い。お金より時間を奪わないと、お金にもならない。LINEなんて無料ですが、時間を奪っているから、スタンプも売れるからマネタイズできるよねという話です。
 この次いま何が起きているかというと、可処分精神の奪い合いで、心をいかに奪うか。これがまさにいま起こっていることです。いかに心を奪って、もう忘れられないぜ、そのことばかり考えちゃうぜ、生活の一部だぜと思わせないといけない。それがまさに僕のやっていることです。要は、心を奪うという仕事をしないと、コンテンツなんて無理なんです。要はすべてが可処分所得、可処分時間、可処分精神とあって、心を奪わないと時間も払わないし、時間を払わないと当然財布も開かない。だから、まず心を押さえないと、何もビジネスが成立しないというのが今です。
 だから、多くのビジネス書とか、いい本だというのは、心を奪う作業をせずに、「いい本をつくりました」と言って勝手に本屋さんに並べて、買わなかったら、「うわー、教養がない」とか言うんですよ。これだけ忙しくていろいろなコンテンツがある中で、いきなりそんな本、選ぶわけがないじゃんと。だって、朝起きたらウェブ記事がガーッと流れて、情報がありすぎるのに、わざわざ本屋さんに行って何も知らない本を選ぶかねという話で、まず心を奪わなければいけない。
 僕が心を奪うためにやっているのが、すべてをさらけ出すことです。本をつくる前後、企画会議から本を出したあとのイベントとか読書会まですべてをやることによって、心をもらっているのです。結果的に心を奪われているから、本もお土産的に買う。そういうことを僕はやっています。
 本がもうからないとかよく言いますが、もうかるって何かなと思うんです。定価×部数と考えると、僕の本は売れるのでもうかりますけど、基本的にそれはキツイでしょうと思います。逆に本って、こんなに能動的に、感情を乗せて没入するメディアとかコンテンツはないので、僕の頭の中のイメージだと、同じような価値観、同じものを好きでいられる気が合う人たちと、熱量高くいられる人たちを集めるツールです。渋谷のスクランブル交差点みたいなイメージ。
 しかも、知らない人が歩いているというよりも、全員ホリエモンのことが好きな人たちがスクランブル交差点を歩いているイメージです。スクランブル交差点のど真ん中にホリエモンの本があるみたいなイメージを僕はしている。何人歩いたかというのが今までの本の売れ行き、収益だけど、あれだけの人が集まっているのだから、その人たちをもっと楽しくさせたら、もっともっとお金がもうかるわけですよ。
 あのスクランブル交差点に募金箱を置いたのが、今回の「価格自由」というサイトで、感動した人はお金を払ってくださいと、本の中にQRコードを入れたのです。そうしたら、別に原価で買って、払う必要もないのに後払いで払っている人で4700万円ぐらい集まっている。熱量が高い、この本に感動したという人たちのところに募金箱を置いたら、4700万円も集まっちゃったと。逆に、その人たちとちょっとみんな気が合うから、毎月月額制で一緒に面白いことをやろうよというのが僕のオンラインサロン。それで月々600万とか、700万とか僕は収益を上げているわけです。イベントも毎月満員になるという。要はあの交差点に何を置くかというので、交差点をつくるのが本で、交差点の人たちに何をさせるかというところまで考えるのが編集者の役割です。



話を戻すと、これからの編集者の役割が広がった背景というのが、今まで謎の温室だった、就活を突破した人たちのユートピアだったのが完全にフリースタイルになった。そこら辺の素人とか、すごいクリエーターと競争しなければいけなくなったから、何でもやらなければいけなくなった。何でもやるというのが、例えば僕でいうと、イベントをプロデュースします、コミュニティをプロデュースします、モデレーターとして回します、インフルエンサーとして宣伝します、テレビに出て宣伝します、新しいマネタイズの方法を考えますとか、全部やっています。
 いわゆる本をつくる編集者から見ると、「箕輪って偽者だよね」とか言われるけど、そうじゃなくて、完全に規制された、守られていたおまえらの防波堤が壊れて、今はもうそのままじゃ無理だよ、みんないろいろなことをやっているのだからと。ある種マスメディアとか既得権益に就職したからって安心ではないよという時代に入ったから、売ることもつくることも両輪になってしまったというのを前提としてやらないと、生き残っていけないし、逆にこういうところに来るような、これから名を挙げていこうという人は、むしろそういうことをやっていない人が多いから、そこでこそ差を付ける。全部やれる編集者にならないと駄目だし、全部やれる編集者って意外といないから、そこをやったら、僕みたいに億万長者になれるんじゃないですか。冗談ですよ(笑)。そんな感じです。
 だからこのイベントも、イベントではないかもしれないですけど、配信しないとかあり得ないんですよ。この会場に入れない人がいるのなら配信しないと。配信をしないという発想は、何か企みがあってなら分かりますけど、いくらでも新しいことをやっていかなきゃいけない。われわれはこういう存在だというのではなくて、常に新しいことをやっていかなきゃいけないというのが編集者。
 もともと編集者って何かと言ったら、世の中の面白いものを自分なりのストーリーで集めて編むというのが編集なので、集めて編んで、「世の中にこれ面白くない?」というのが編集者。自分では何も生み出さないけれど、集めて編むんです。そのセンスなんですよ。だから、自分が進化しなかったら、集めて編むセンスなんていかないですよ。だから僕の動画って、編集者の動画ってばかかと。集めて編むぐらいしか能力がないのだから、せめて時代に合わせろと。字を読むなんて面倒くさいと思うもの。だったら動画で分かりやすく説明しろよ、集めて編むぐらいしか才能がないんだからと思うのが僕、という感じですね。きょうはこんな感じですか(笑)。

 小林 ちょっと具体的になりますけれども、NewsPicks Bookというのがありますよね。ここではひと月に1冊ずつ本をつくっていかれるというようなことをやっておられると思いますが、具体的にどんな形で月1冊ペースの本づくりをされているのか、その辺のことを。『実験思考』という本がありますが、光本さんが直接執筆をされているわけではないのですね。目次とか、本のつくり方。月1回のペースでつくられるやり方ですね。ちょっと話が変わってしまいますが。

 箕輪 ちょっと細かい具体的な話でいうと、超久しぶりに本の話をします。昔、宣伝会議というところで編集者養成、ライター講座の講師をやっていたのですが、めちゃめちゃ悪口を言ったら干されまして、二度と呼ばれなくなったというので、本の講座をやるのは久しぶりです。本というのは、当たり前ですけど、テーマ×著者なのです。これを企画の立ち上げの段階で考えると、まず企画がないと何も進まないと思うので、企画ということを考えると、テーマ×著者が本の企画ですね。最初の段階、企画。
 分かりやすくいうと、例えばホリエモンという人がいたときに、ホリエモンっていろいろな要素があると思うのです。「太っている」とか、「成金」か、そういう要素があると思うのですが、例えばホリエモンでテーマが何か分からない。「おしゃれ」とかだったら、絶対に売れないじゃないですか。ホリエモンの本がいっぱい出ていますけど、売れる本と売れない本があるのは、ホリエモンに対してのテーマが明確じゃないから、ここが弱いのですね。
 僕が『多動力』を出したときには、それがたぶんみんな言語化はできていなかったけれど、ホリエモンの訳が分からない活動の感じ、知りたい感じがまさに多動力ということだったと思います。だから、「ああ、それ!」と思って、決定的な本に見えて、ホリエモンの本の中でもズバッと売れたわけです。そういうふうに企画はつくっていく。
 でも、これってある意味ホリエモンを僕がつかまえられるからで、もっと言うと、「これから箕輪さんって海にでも行くのかよ」とみんなお思いだと思うのですが、本当に海に行くのです。このあと羽田空港に行って、シンガポールに行きます。この講義はオファーをいただいて、本当にありがたいですけど、この講義がなかったらもうちょっと長い間プールに入れていたなと思っている次第ですが、すみませんね。そんな失礼を言って本当に申し訳ない。
 青木真也という格闘家の試合をシンガポールまで見に行くのです。青木真也って本当に無名だったのです。僕も無名だった。でも、僕は青木真也という格闘家がめちゃめちゃ好きだった。大学時代からファンで、プライドという格闘技の会場まで毎回見に行って、本当に心から応援していた好きな人。編集者になったから会える。でも、青木真也は無名。こんな人の本を出しても、まあ売れないわけですよ。サウナで2人で話して、青木は「箕輪さん、本出したいんだよね」と言った。僕は、売れないとお互い不幸になるから、中途半端に仲いいからって仕事はしたくないタイプなので、ずっと考えていて、何かないかなと思っていた。
 僕、こんな感じですけど、実は結婚しています。よく「箕輪君も子どもをつくったら人生変わるよ」と毎日のように言われるんですけど、子どもが2人いるんです。「いますけどね」というのが毎日なんですけど、その当時、僕はすごく貧乏でした。でも都会に住んでいて、ギリギリ家賃滞納しまくりみたいなところだった。大崎というタワマンが建ち並ぶところに住んでいて、うちは貧乏だったから。貧乏関係なく、僕はこういう格好をしているから、幼稚園のバスのところまで送っていっているのに、「マジ恥ずかしい」とか妻に言われるんですよ。ほかのママに見られたら超恥ずかしいとか。
 確かにほかのパパは朝の送りなのに、スーツにチーフとか入れている。うそでしょうと思った。あんなくだらないやつらに、なぜ俺が合わせなきゃいけないんだと言って。でも、恥ずかしい。ビニール傘で恥ずかしいから、傘買いたいんだけど、みたいな。要は自分がどうとかではなくて、周りの空気を読みまくっている。その悩みばっかり。
 青木真也とサウナに入っているとき、彼が「俺、友達ってできたことないんだよね」と言って、小学校のときも壁に向かって給食を食べさせられていたと。こいつヤベエやつだなと。いつも選手と練習を終わったあと「ごはん行こう」と言われても、一回も行ったことがないと言っていて、それを聞いたときに、あ、これは本になるかもなと初めて思ったんです。
 ママ友の集団に青木真也をバーンとぶつけたとき、何か面白いことになるんじゃないかと。格闘家の本だって、格闘技ブームが終わっているので売れないのですが、これはある種格闘家の1人が思想的なものを一般の人にぶつけて、1個いい本になるんじゃないかな。売れるんじゃないかなと思ったんですね。
 ここから僕の頭がグワーッと回った。その前は品川駅の港南というところに住んでいました。新幹線の港南口、朝サラリーマンが異常な感じで歩いてくるところです。僕は港南に住んでいたので、こっちで歩いていても方向規制が敷かれて、この待遇が半端じゃないことを思い出したんです。青木真也はちょっとヤバイ格闘家で、相手の骨を折っちゃうんですね。中指を立てたりして、問題児なんです。この人を、ワーッと来るサラリーマンの大群のところを、裸でパンツ1枚で逆方向に立たせて、訳が分からない頭がいかれた顔をして、写真をパシャッと撮って、「空気を読んではいけない」という言葉をタイトルにすれば、この人たちの元に行くんじゃないかなと思った。要はベリー(VERY)妻ですよね。
 俺が青木に言ったのは、「ベリー妻にこの本を届けましょう」と。ベリー妻って、絶対にベリー妻になりたくてやっているのではなくて、ベリー妻であらなければならないと思ってやっているので、青木さんをここに裸で立ってこう歩かせて、「空気を読んではいけない」と。中もひどいですよ。友達と飯を食うなとか、気の合わない上司とは刺し違える覚悟を持てとか、ビジネス書とは思えない。刺し違える覚悟って何だよ、みたいな。縁切りせよとか。縁切りって何だよ、みたいな。
 バッサバッサ、バッサバッサ世の中の風潮や空気に合せるのを全部切っていくという本にして、表紙から何から一貫してやったら、恐ろしいことに『VERY』から取材が来た。全4ページぐらいで。「青木さんに空気を読まないことについて聞いてほしい」と。俺、その瞬間にガッツポーズをして、来たと。冗談で言っていたのに来たじゃん、青木さん、マジ来たわと。
 でも、そのインタビューはひどくて、「ランドセルなんて背負わなくていい」とか誰の参考にもならないことだったんだけど(笑)。これだけ言ったら、箕輪さんはホリエモンと仲がいいからじゃんとなるけど、本来の企画はそうではなくて、自分の超個人的なものを掘って掘って掘って掘って掘りまくって見つけるもの。青木真也だったら、空気を読まないということ。
 これはツイートとかしてほしくないけれど、青木真也って売れっ子でも何でもなくて、格闘家としては優れているけど、著者としてはそんなに優れていない。普通なんです。『空気を読んではいけない』という本が売れたりしているから、最近2冊目が出た。僕が青木の2冊目を出したいというのを無視しているから、他社から出たのですが、『ストロング本能』という。タイトルが偏差値2ぐらいの感じがしていいなと思ったけど、中身をパラッと読んだらひどいわけですよ。この劣化版。「本能で生きろ」と、同じことしかいっていない。それだったら、編集者としては出しちゃいけないんですよ。テーマでも何でもない。企画でも何でもないから。俺が青木の本を出すなら、青木って、いま友達とごはんばっかり食べているの。「俺たちはファミリーだ」というのが口癖なの。結局、「空気を読んではいけない」とか言っているけど、単純に世間を知らなかっただけだなと思って(笑)。
 でも、俺はそれが面白いと思うから、売れないからやらないけれど、俺が出すなら、人間は年を取ると弱くなって、ファミリーにしたがる。でも、それって悪くない生き方じゃない? と。とがっている人生もあるけど、丸まるということも1個あるよねというテーマの本にする。それが売れるか売れないかは別として、それが真実だから。
 それは、たぶん部数は少なくても、とがっているところからある種丸まるフェーズに行く人にとっては共感を呼ぶ。でも、その母数が低いと思うから、僕は売れる本しか、売れる本しかと言ったらなんだけど、そんな大したことのない本は出したくないからやらないけれど。じゃなかったら、出しちゃいけない。俺はそういう編集者は駄目だなと思う。著者×テーマということを常に考える。それがすべて1本の線になっているのですよ。タイトル、著者、表紙イメージ。それが企画ですよね。まだ企画なんです。これが1000個ぐらいありますから。
 僕は「あの人、歌を歌ったり、テレビに出たり、チャラチャラしている」とよく言われますが、これをしゃべり始めたら、どの編集者よりも異常にありますが、それは僕のオンラインサロンの箕輪編集室でもしゃべるよと言っているけれども、毎回1個目とかでやめちゃうんです。もう面倒くさくなって。
 企画がありますよね。企画を立てたら多くの本は、特に小説以外の本は、本人は書いていないです。ホリエモンの本なんて、『多動力』を出したときに、ホリエモンに「出来ました」と持っていったら、「なに、この本」と言われましたからね。というぐらい本人は知らない。たから、ビジネス書と言われるものは編集者がつくるのです。
 編集者がつくる上で大事なのは、よく言われる構成です。目次づくりというのかな。『多動力』という本をつくるとき、どういう目次にするか。「はじめに」から、1章から5章まで。変わることはあれど、これは一応紙にしてつくるくわけです。この構成に基づいて著者にインタビューして、素材を集めていくという作業が、たぶんここにいる人は何となく分かると思います。
 ここにおいて大事なのは何かというと、串を通すこと。駄目な本の典型は、串が通っていないんです。その時点で、こいつ駄目だなと僕は思う。最近、メディアが出版機能を持とうとして本の出版を始めていますが、最悪です(笑)。いっぱい最悪なことがあるのですが、まず、NewsPicks Bookがうまくいったからといって、適当にネットメディアが出版社と組めばうまくいくと思っていること自体が浅はかだし、言いたいことがありすぎる。うまくいっていない人にそんなことを言ってもしょうがないので言わないですけれども。
 まずテーマがよく分からない。NewsPicks Bookは個のエンパワーメントを支援しているわけです。僕は個のエンパワーメントが好きだから、NewsPicks Bookの編集長になって、個をめちゃくちゃエンパワーメントしているわけですよ。俺がやっている仕事の劣化版みたいな、そんなこと絶対にやってはいけないじゃないですか。絶対に売れなくてもいいから、我々とはこれぞやというものをやらなきゃいけない。
 例えば、いま売れているのが僕だから、僕に対して完全にプロレスを仕掛けてきて、3000円ぐらいの、読むのに1年ぐらいかかるような本をつくるべきだと。でも、これを読んだときに本当に知を得て、箕輪がつくるようなインスタントなものばかり食べていたらばかになるよと言わなきゃいけないのに、俺がつくっているよりもっとインスタントなものをやるのは、ダサすぎてしょうがないでしょう。それをやるって、要は軸という意識がないの。
 これはレーベルのとしてまず失格。
 本として一冊にまとめるというのは何かというと、やっぱり集めて編むのですよ。この世の中にある情報がいっぱい散らばっているのを、これとこれとこれとこれを集めて1本の軸でこういうタイトルにしてお届けしますというのが本なわけです。『多動力』でいうと、ホリエモンにインタビューしたときにめちゃめちゃ面白い話があっても、『多動力』と関係ないところにあったら、捨てるのです。鍋をつくろうとしたら、シイタケ鍋をつくるときに、「めちゃめちゃいい和牛がきょう入ったので入れますか」と言われたら、「ごめん、きょうは入れないわ」と言わなければいけない。あくまでも『多動力』というもので、ホリエモンの多動性で集めて、しかもこの並びが完璧。前菜から何から。
 話すと長すぎるので、箕輪編集室に入ってほしいのですが、無駄なものは排除して1本の串で刺すというのが編集力。だって、寄せ鍋にするなら誰だってできるじゃん。無駄なものを排除して、1本の串というのが編集力で、だからタイトルが大事です。青木真也でいうと、空気を読んではいけない以外のエピソードがあっても、今回のは「じゃあね」という話ですよ。駄目な編集者っていうのはちょっと欲張りで、入れるんです。そうなると、シイタケ鍋を食べにきたのに、きょうはいい和牛もありますよと言ったら、思い出に残らないのですよ。
 たまに秋元康さんと一緒に会議に出るのですが、もういいよと思うぐらい絶対に言うの、「記憶に残る幕の内弁当はない」と。幕の内弁当で覚えているのはないだろう、おまえと。逆に日の丸弁当でも、めちゃめちゃうまい米とめちゃめちゃ梅干しだったら永遠に覚えているんだよ、だから詰め込むなと。テーマをはっきりさせろと言うのだけれど、それが編集力。著者は魅力的だし、話題も多いし、面白い。でもおまえ、何の串で刺すんだというのが編集力。そこが企画の次に、『空気を読んではいけない』とか『多動力』となったときに、構成を考え、インタビューをするときに意識すること。必要ないことは、聞くけれど排除して、ちゃんと串で刺す。



構成でいうと、またこれも複雑です。とりあえずしゃべるので、何となく聞いてほしいのですが、構成が大事で、「はじめに」から「終わりに」までの流れがめちゃくちゃ大事です。僕が本をつくるときに意識しているのは何かというと、読了率です。読み終わる率。世の中の多くの本は、箕輪調べですけど、読み切られた本の数ってたぶん50%ぐらいだと思います。自分でもそうですから、ましてkindleでダウンロードしたものは読み終わる前にやめているので、世の中の多くの本は50%ぐらいしか読み切られていないと思っています。
 なぜ読み切られなければいけないかというと、読み切られない本は人に勧めないですよ。人に勧められない本は売れません。当たり前ですが、口コミが大事なので。口コミが広がるといったら、「この本面白かったよ」と言うけれど、読み切っていない本を「面白かった」と言わないじゃないですか。逆に、読み切ったら、人は勧められるもの。わざわざ1冊読み切るって結構なカロリーなので、読み切った本は面白かったよと。自分もこんな本を読んだよという自己アピールも含め人に勧めたくなるから、売れるのです。だから、僕は読了率をできるだけ高めたいと思っています。
 読了率を高めるために必要なのは、「はじめに」から「終わりに」までの気持ちいい流れですよ。映画を見ているような、「はじめに」でこういうことをやって、1章でこうやって、2章でこうやって、3章で意外と落として、4章で上げて、5章でもう人生ハッピーになるみたいな。このセンスが大事です。これも話すと長くなるからきょうは話せないのですが、こういうのって意外と自分の好きな映画とか、好きなイベントとか、本というもので限定せずに、もっと発想をオープンに持って、何から始めて、何の話をして、何の話をして、何の話をして、最後にどういうふうに締めたら自分だったら気持ちいいと思うだろうというぐらい思ってほしい。
 与沢翼の『ネオヒルズ・ジャパン』という本だったら、いま思うと、僕が編集長だから通ったと思うのですが、意味分からないですよ。目次の後か前か正確ではないのですが、与沢翼とあと2人のネオヒルズ族という詐欺師みたいな3人がいるのですが、それをレスリー・キーという超トップのカメラマンが撮っていた謎のグラビアが20ページぐらい続くのです。意味が分からない。
 たぶん目次があって、そこから本編です。そんなの意味が分からないけど、僕の中でイメージしているのは、さっき言っていたプライドという格闘技イベント。僕はプライドという格闘技イベントがなぜ好きかと言ったら、オープニングがめちゃめちゃ感動的なんです。そのときどきによって違うんだけど、少年少女の合唱だったり、タップダンスだったりいろいろあるけれど、年末のプライドのイベントだったら、その年のいろいろなトピックを取り上げながら20分ぐらいオープニングがあって、バーンと花火が打ち上がって、そこから本編なんです。そうすると、仕上げが多少つまらなくても、1個の完成した世界観の中に入っちゃうと、楽しくて結構見られるんですよ。
 だから俺は、プライドのオープニングを意識したのです。誰も分からない、勝手な自己満足だけど。でもそういうのが大事で、自分なりに好きな映画とか、自分なりに好きなイベントの流れを本の中に落とし込んだときにどうだと。逆にいうと、「はじめに」がなくてもいいだろうし、「はじめに」で30ページぐらいいっちゃってもいいし。「はじめに」がポエムでもいい。一言一言でもいいと思う。1ページに「僕は」でもいいと思う。そういうポンポンポンと始まる映画が好きだったら、そういうふうに工夫してみようとかでもいいんだと思うけど、構成を自分のクリエーティビティを入れまくってやる。
 ここはわがままでいいというか、自分のクリエーティビティ爆発で、でもここはしっかり何を伝えたいかという串を刺す。それで構成ができる。この構成に従って、今度はインタビューをするわけですよ。ホリエモンだったら、『多動力』というテーマで、要はこの構成に従って、こういうところの言葉を聞きたいから、5~6時間インタビュー。ホリエモンは最近インタビューすら受けないですけど、20時間ぐらいインタビューをするわけですよね。
 インタビューをするときに、駄目なインタビュアーといいインタビュアーの違いは、本当に駄目なインタビュアーは何の準備もしていない。ただ本当に駄目な人ですが、その人たちは問題外として置いておいて、頑張っている中でいいインタビュアーと駄目なインタビュアーを考えるとしたら、駄目なインタビュアーは、自分の中でもう答えを持っているわけですよ。僕も逆にインタビューに答える側の機会も多いので分かるのですが、俺いるの? 、その言葉を拾いに来たじゃん、みたいな。
 「箕輪さんって、行動力があるのは○○だからですよね」「うん」みたいな。頑張り屋さんだし、僕もそういう時期があったから、そのぐらい仕上げてきているんだなと思うけど、それは言ってはいけないですよ。100個ぐらいの引き出しにすべて道具があるけど、1個も引き出さないのが大事です。要は1000%準備して、何も準備しないぐらいフラットに行く、みたいなのが大事。
 それがなぜ大事かというと、予定調和のインタビュー、僕もそうだし、皆さんもそうだけど、われわれごときが予想していることをインタビューして、予想通りの言葉を持ち帰って本1冊にしても何も面白くないんですよ。だから、完璧にインタビューして、インタビューする必要もないぐらい相手のことを調べたあとに、それを完全に一瞬忘れて、ばかなふりしていろいろ自分が気になることを聞く。そうすると、何が起きるかというと、100%ではないけど、あ、そうなんだと自分の発見があるんですよ。それは事前に思っていなかったわ、という。それが本の面白み、読者の感動です。

 『多動力』でいうと、僕は多動力とは何かと思ったのです。堀江貴文の『多動力』は35万部ぐらい売れましたけれど、僕はホリエモンと一緒にいて、あらゆることを片っ端からやる人だと思っていた。ロケットを飛ばしたり、和牛プロデュースをしたり、お祭りをやったり、メルマガをやったり、オンラインサロンをやったり、この人はマルチタスキングスキル、片っ端から同時に手が何本あるか分からないぐらいやるのがすごいなと思っていたんだけど、ホリエモンにインタビューしたときに、ホリエモンに言ったんですよ。ホリエモンって、サイン会とかほかの場所で一緒になったことある人は分かると思いますが、基本的にめちゃめちゃ機嫌が悪いです。ずっとスマホをいじっていて、誰も近より難いです。心のガードが半端ない。酔っているとすごくヘロヘロしています。その辺は僕と同じです。
 ホリエモンはそんな感じで極端な話、5秒でも謎の待ち時間があるとキレるんです。「え、いま何待ち?」みたいな。それこそ写真撮影でも5カットぐらい撮るだけで、「意味あるの? 1枚でいいじゃん。デジカメなんだから」という人なのに、夜意外と6時半ぐらいから2時ぐらいまでシーシャを吸いながらずっと飲んでいるんです。
 それで、俺はホリエモンに言ったのです。「堀江さんって秒刻みで超多動な人ですけど、意外と夜クソ意味なくないですか」と。それが大事で、そこはピュアに聞く。聞くと、ホリエモンが言っていたのは、「違えよ。別に俺、秒刻みでスケジュールを動かしたいんじゃねえよ」と。「24時間をこうやったときに、寝る前に1秒でもやりたくないこと、心動かないこと、自分がやる必要がないことがあるのが嫌いなんだよ。だから待ち時間とか、写真撮影とか、意味ねえことをやりたくねえんだよ。飲みは楽しいから、何時間でもやるんだよ」と聞いたときに俺は、多動力って同時並行でいろいろなことをやる力かと思いきや、違うのだと。自分がやる必要がないことは、写真撮影だったら今までの過去素材を使ってくれよと思う。俺、その時間、遊びたいみたいな。要は自分以外ができる仕事をどんどん周りに振る力が多動力だなと、質問をしたことによって気付いたのですね。
 だから、多動力の本質とは不動力みたいなことで、自分が動かずして周りにやらせる。本なんて俺書かないでいいじゃん。箕輪は俺のこと知っているのだから、つくってくれよというのが多動力と気付いて、多動力の本質は動かないことなんだと。で、周りを鬼のように動かして、自分で動いたら、どんなに頑張っても10人分ぐらいしか動けないけど、自分が動かないで周りに振れまくったら、1000人、1万人いるように見えるのだと。それが本当の多動力なのだなと気付いて、この本をつくった。それは、さっき言った構成段階では気付かない。本人に聞いてみないと気付かないことで、これが本の深みを増すことなのですね。
 だから、インタビューに大事なのは、決め決めで死ぬほど準備するけれど、フラットに、ばかなふりして聞いてみる。そこの発見を盛り込んで、これをより重層的にしていく。そういうふうにしていくのがインタビューですと。
 インタビューが終わると、インタビューの文字起こしが出てくるわけです。これをいかに原稿にするかというのはまたいつか話します。ここからずーっとあって、デザイン、表紙デザインを決めて、そのあとまた売って、そのあと価格を自由にしたりして、オンラインサロンとかやって、テレビとかも仕込んでというぐらいやって、「箕輪ってチャラい編集者だな」と言われる(笑)。それが編集者ですから大変ですよ。まあそんな感じです。本当にいっぱいあります。本当に面倒くさいことの積み重ねかと思いますが、考え方としてはプロデューサーだなと思うとできると思う。こういう作業を一個一個楽しくてやっているので、つらくないんですよね。

 大事なことは、何だろうな。すごく根本的な話をすると、「本をつくって売ってどうするの?」とめちゃめちゃ思うんですよ。時間がないので話せないですが、皆さん一人一人と話したいのは、本の編集者か、ウェブの編集者か、雑誌の編集者か分かりませんが、「つくって売ってどうするの?」と思うの。昔はつくって売るしかなかったからやっていたと思うのですが、今は読者の人と永遠にSNSとかでつながれるわけから、「つくって売ってどうするの?」という感覚がめっちゃある。結局僕は、本も1個のツールで、世の中をどうしたいのかということ。
 小説とかは違いますよ。ある種エンターテインメントだと思うので。エンターテインメントというか、作品なので。アートはアートでいいと思うのと同時に、作品は作品でいいと思うのだけれど、いわゆる実用書とかビジネス書とかをつくる意味で、そこで終わってどうするのと思っている。大事なのは編集者としてどうしたいのかです。
 いま話した話は、よく僕のビジネス書が「自己啓発じゃん」とか揶揄されるのですが、逆にいうと、僕がいま話したような専門的な話をすると、箕輪さんって意外と本物とか言われますが、こんな話はクソ意味ないと思っているんですよ。やると満足感も得られるし、意外と本物だと思われるからやってもいいけれど、まあやらないですよ。宣伝会議もやめちゃったし。なぜならば、意味ないから。こんな話は僕、習っていませんから。僕が猛烈に何かを目指しているときに勝手に身に付けた話を、あとから説明するとしたらこうかなと思ってやっていることで。
 大事なのは猛烈に何を考えるかです。僕の出すビジネス書は8割自己啓じゃん、ノウハウとかは2割じゃんというのだけど世の中の多くの仕事は、僕は本当にうまくいっている起業家と何人も会っていますけれど、ノウハウなんて1人も語っていませんよ。そんなものは本当にどうでもいい話。死に物狂いで何かをやろうとしたときに、勝手にこうやったら死ななかったみたいな話ですから。それは知っていたほうがいいですけれど、そんなものを集めてどうするのという話で、大事なのは本当に心構えと覚悟なの。というか、心構えと覚悟があったら編集者だって何だってうまくいくから。でも、心構えと覚悟って「持て」といっても持てないのですよ。
 なぜ心構えと覚悟は持てるのかというと、猛烈に望むものがあるからです。僕はあまり望むものは本当にないですけどね。自由に生きたいぐらいですけど。要は、僕は編集者として、最初から思っていたわけではないけれど、やりたいなと思うことは、特に日本という国はステージの上に立つ人がばかにされる世の中。小学校だろうが、ビジネスの世界だろうが、何だろうが、「恥ずかしい。あいつ、ヤバイ。やっちゃったな」と言われる世の中で、Twitterとかでもそうですよね。それでみんなでたたく。でも、ここにいる人のほうが絶対楽しいし、自分の人生を生きているんですね。
 例えば僕は歌が全然うまくないのですが、歌手デビューをしたんです。僕の信者の人はうまいと言ってくれる。うまいとは言わないか、勇気をもらったとか言ってくれるんです。知っている人がいるか分かりませんが、僕はなぜか歌手デビューをしなきゃいけなくなって、そしたら、鴻巣とか、土浦とか謎の場所のショッピングモールにいくと、本当にこのぐらいの席におじいちゃん、おばあちゃんが座っているわけです。誰も俺のことを知らない。ただ、買い物に疲れて座っているんです。そこで歌うわけですよ。超つらいじゃないですか。こんなヒットメーカーでこんな編集理論があるのに、なぜ歌わなきゃいけないんだという話ですけれど、歌っていると、マジで恥じゃんとか、ツイートが来るんです。つらいじゃないですか。わざわざ2時間ぐらいかけて行って、2曲だけ歌って帰って来るという。
 でも、僕はそれをなぜやっているのか分からないのですけど、要はステージに上がる人のほうが強いです。この人、恥じゃん、歌下手じゃんといっている時間って、俺に全部吸収されているんですよ。そうすると、ある種たたかれているようで、注目度も上がるし、どんどんいろいろなところにやって、それが意外と、「こんなに下手なのに歌うんだ。勇気をもらいました」とか、それなりの人から言われたりするのですね。そうすると、どんどん僕が大きくなるんです。Twitterだけ見ているとたたいているような人のほうが流れから見てかっこいいように見えるけど、冷静に考えたら、壇上に上がっている人がどんどんどんどん強くなって、はっきり言ってもうかるわけですよ。
 僕はこの前、北海道の超田舎のフェスに20万円で招かれましたから。新人アーティストとは異例な扱いですよ。箕輪厚介だったら行かないけど、こっちのアーティストだったら田舎まで行きます。壇上に立つということは、自分の人生を生きるということだから、せっかく生まれてきたなら、ばかになるほうを選べよということを伝えたくて、本を出しているわけです。それがあれば、こんなことはそれなりの自分なりの感じで思い付くわけですよ。目次はこうしようとか、何とかしようとか。
 これというのは最初から明確にあるものではないけれど、やっていく中で、最初はどうにかちゃんとした本をつくろうみたいなところかもしれないけど、やっていく中でこれを明確に意識すれば、あとからできますから。それがオリジナリティで、その編集者の価値なので。僕も偉そうにいうのはあれですけど、皆さんも編集者になるならば、今は本を1冊に完結するだけが編集者ではなくて、コミュニティをつくったり、イベントをやったり、すべてを含んで編集者で、それこそ何でも屋さんになる時代です。何でも屋さんになる時代だからこそ、10万部のヒットを出したいとかではない。どういうことを成し遂げるためのヒットなのか、何のために本を出すのかというところを考えたほうがいい。
 よく「100万部つくるための企画」とか「10万部つくる本の鉄則」とかをTwitterしているやつらがいるけれど、本当にそのTwitterだけでハイボール2杯飲みますよ、くだらなすぎて。「え、で?」って感じ。10万人読んでどうするのという話ですよ。そこから先が語れないなら、紙の無駄だから出すなと。売れる本なんて、テレビで特集されたりしたら売れちゃうもの。でも、10万部読んでどうするのというのがある人に初めてちゃんと10万部つくってほしいなと思うので。
 いろいろ細かいことは語りましたが大事なのは、自分が編集という仕事を通して、どんな世の中をつくりたいか。どんな人たちを読者にして、読者をどのように変えていきたいかを明確に頭の片隅に持ちながら頑張ってほしいと思うことを最後の言葉として、今回は講義とさせていただきたいと思います。ありがとうございました(拍手)。

 小林 ありがとうございました。予定調和ではもう一つでしたが、次回ということで。それでは山本さん、いいでしょうか。質問がありましたら。

 箕輪 質問があったら、どうぞ。



司会 時間がちょっと押していますけれども、お一人、二人ぐらいご質問がある方はいらっしゃいますか。

 女性A ありがとうございました。自己啓発っぽい話の続きみたいですが、箕輪さんは結局人生とか仕事を通じて何をなさりたいというか、実現したい世の中をどうしたいのかなというのを、自分の中で聞いてみたいなと思いました。

 箕輪 僕自身が、ということですか。それがね、本当ないんですよ。僕自身はとにかくウワーッて大声出すような人になりたいです。すげえ大きい音がしたけど、今の何だったの? みたいな、そんな感じ。
 女性A インパクトがある?
 箕輪 放火魔みたいな感じですね。火を放って、めちゃめちゃ燃えて、集まったときには違うところに火を放つというぐらい。僕のモチベーションとしてはそうだけれど、本を通じてということでいうと、やっぱり若い人がある種、僕は高校でも講演するんだけど、高校とか大学でめちゃめちゃ反響がある。やっぱりこうあるべきみたいなものに凝り固まっているので、それを解放すると言ったらあれだけど。とにかく自分が努力しないでいいとかではまったくなく。別にルールなんて、ルールがあるのではなくて、ルールはつくるものだから、自分の頭で考えて自分の言葉でしゃべって、どんどんステージに立って、痛い思いをしながらやれということを発信したい。全員がやる必要はないけど、僕の編集した本を通じて、そういう人が1人でも増えてほしい。
 僕はインドが好きなんですが、インドってめちゃめちゃカオスなんですね。インドって、本当かどうかよく分からないらしいですけど、日本って「みんな我慢しているのだから、あんたも我慢しなさい」と親が子どもに言うのですが、インドだと、「あなたもだらしないんだから、人のだらしなさを許しなさい」と言うらしいです。僕はそういう世の中がいいなと思っています。そういう世の中にしたいと超思っているわけではないですが、要はそれぞれがそれぞれステージに立って、自分の人生を生き切るようになったら、もっといいんじゃないかと思っています。
 僕が一番嫌いなのが、例えば小学生ユーチューバーとかいま炎上しているじゃないですか。あの生き方がいいとか悪いとかは一回置いておいて、おまえの人生に関係ないじゃんって思うの。おじさん、おばさんが「うーん、どうでしょうね」とかって。おまえはおまえの人生を生きろと。だから、みんな自分がステージに立つようにしたいというのが僕の。僕自身がどうなりたいかというのが本当になくて、放火魔みたいに常に火を放っていたいという感じですね。

 山本 ありがとうございました。それでは時間もあれですから、もう一方だけ、すみません。

 フルヤ きょうはありがとうございました。フルヤと申します。いま火を放ちたいというお話がありましたけれども、今後、世の中に対してこういうことを仕掛けていきたいとか、こういう人と一緒に何かやっていきたいというものがあったら、教えていただきたいなと思います。

 箕輪 それは本当に毎日のように言われますが、本当にないんですよね。ないんだけど急に思いつくというのが正しくて。『実験思考』だって、そのまま出そうと思ったら、面白いことをやりたいとやっぱ言われて、タタタタタと考えたもので、走りながらやっているので、今後これをやりたいというのがない。逆にいうと、僕の中でいつかこれをやりたいというのはあり得ないのです。いつかやりたいなら、今やるので。すべてのことはやりはじめた瞬間もうやっている。だから僕の中でやりたいという言葉って意味が分からなくて、やっているしかないんですよ。
 例えば、トランプ大統領の本をつくりたいと思ったとした場合、つくりたくないですけど、つくりたいということがあり得ないのですよ。つくりたいなら、英語を勉強しはじめるでも、トランプのTwitterをとりあえず全部コピペして1個のワードにするでも何でもいいけど、やることってあるじゃないですか。そうなったら、「つくるために動いています」と言えるんですよ。だから、今後やりたいということはなくて、すべてが今って感じかな。
 フルヤ ありがとうございます。
 箕輪 ありがとうございます。じゃあ、最後、お願いします。

 山本 いいですか。
 箕輪 もちろん。これで飛行機乗って、寝て起きたら灼熱だ(笑)。

 女性B そんな前にすみません。きょうは本当にありがとうございました。箕輪さんは高校生のときからすごく多動的な感じだなというふうに本を読んで思っていたのですが、そのエネルギーはもともとどこからルーツが来ているのか。教育とかそういうのが関係しているのか。遺伝なのか。その辺り自分でどう捉えているか伺いたいと思います。

 箕輪 もともとそういう要素はあったと思いますが、やはりどんどん先鋭化している気がする。多動力の本質っていろいろあると思うんだけど、やっぱり成功体験だと思います。何でもやってみてうまくいくのを経験すると、まったく初めてのことでも、たぶん俺頑張ればできるわという根拠のない自信ができる。それは小学校のときに受験や部活などで学ぶものだと思うのですが、大人になってからはなかなか学ぶ機会がないです。それは最初いろいろなことでやってみて、僕は成功体験が多いから、ボクシングの試合に出たり、歌手デビューしてみたり、いろいろやるけれども、最初はめちゃめちゃ苦痛でも、1カ月ぐらい死ぬ気でやると意外と形になるのが分かっているから、行動惹起になっちゃうんですよ。今はつらいけど、やってみたら絶対にいい感じになっちゃうぜみたいなのが分かるんですよね。
 例えばショッピングモールで歌うときも、最初はめちゃめちゃ嫌ですよ。え、マジ? みたいな。レコード会社にムカつくんですよ。「なんで俺こんなんことやらなきゃいけないの」と思うけど、やっているうちに絶対に慣れて、むしろ楽しくなってくるわと。僕は成功体験があるから、分かるんです。どうせ緊張しなくなるなみたいな。だから、昔は相当ストレスだったけど、今は駅にライブの5分ぐらい前に着いて、イオンの会場に行って、そのまんまマイクを受け取って歌うぐらい緊張しなくなりましたよ。場慣れするから。
 そういうことをやっていると、また僕が新しいチャレンジをするとき、例えば次、英語で仕事をしなきゃいけないときも、英語は無理だと思うけど、たぶんできるなと思うんです。周りから見たら、この人なんてエネルギッシュでいろいろなことをやるんだろうと思うけど、僕の中ではやれると分かっているから、死ぬ気でやればやれるんだもん、今までもそうだったもんと思う。最初は結構負荷が掛かるけど、何回か成功体験を積むと、どうせ今回もできるわという根拠のない自信が備わるという感じですかね。エネルギッシュなわけでもなく、うまくいく気がするという感じですね。
 女性B ありがとうございました。

 箕輪 ありがとうございます。本日は貴重な時間をありがとうございました。またどこかでお会いできると思うので、楽しみにしています。ありがとうございました(拍手)。



(2019年5月16日(木)AJEC編集講座での講演より)

ページのトップへ

サイトマップお問い合せ Copyright(C) Since 2003 Association of Japan Editing & Creation. All Rights Reserved.
【事務局】〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-7 TEL:03-6869-7780 FAX:03‑6701‑7180