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基礎から学ぶ編集講座
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河野通和氏講演「時代が求める編集者の役割とは?~編集者がブレイクスルーする時」

編集者がブレイクするにはどうしたらよいか、中村氏は
 1.自分がブレイクする方法
 2 仕事のスタイルを確立する方法
と、2段階にに分けて具体的に講演してくださいました。


1、ブレイクする(一皮むける)には

出版社の器を知る ~カレーは丼でもお皿でも可

今は編集者を採用する側に回っている中村氏。面接に来た方が、いろんな自分の好みの企画を持ち込むが、編集者は、その会社の要望とか、状況をよく知っていかなければならないと思う。出版社はひとつの「器」。器を知る、というのは、重要なことと常々思っている。

カレーライスは、どんぶりでも食べられるし、お箸でもいい。でも、西洋のお皿にスプーン、この感覚が必要。書籍は料理。そこの出版社には、そこのテーマ、そこの執筆陣というのがあるので、器を知る、というのが重要だ、という。


編集者受難の時代 ~エージェントの出現

エージェントというのは、本来なら編集者の仕事ですが、先生方に本を出しませんか、出版社を見つけます、と働きかけをする。古いところで天才工房の吉田さんとか、最近はコルクの佐渡島さんなど。自分たちが今まで築いた人脈を通して、先生方の本作りのお手伝いをしている。どちらかというと、出版社が弱いプロモーションなど、版元のお手伝いをしている。昔のように作家さんと編集者が1対1でやっていた時代と今は違う。本を出すと電子書籍になったり、オンデマンド本になったり、いろんな展開の話が出てきて、その辺りがわかってないといけない。今の編集者の皆さんは、そういう広いところに目配りしながらやっていかないと、やっていけないと思う。


編集者養成ギブス ~文字数制限、ページ数制限

「制限をつける」ことは、編集者を育てるのに効果的な方法。小説などは、文字数、ページ数を減らすなどは、編集者が勝手にできないが、ビジネス書などは、けっこう減らすことができる。224Pとかでなくて、192Pとかにする。厚めの紙を使うと束がでる。制限をつけて、絶対にこのページ数で収めろ、というと、推敲されて読みやすくなり、文章力がつく。2行か3行で終わり、平気でページに白を残している本があるが、これはどこかで、詰めればよい。しかし、逆もあり、行間をあけることで、自分の考えが伝わる、という田坂広志先生のようなやり方もある。見出しは雑誌編集者がやりましたが、タイトルは7文字、サブタイトルが20字と決まっていた。「豊かさ」では1文字多い。苦しんで調べて「豊饒」という2文字で収まる。



自分ファーストでは失敗する ~守・破・離の教え

守って、破って、離れる、これは「お茶」の言葉だと思う。最初から自分の考えだけで、こういう本を作る、とか、この会社で自分は新しい企画をやりたい、と思うのはいいけれども、最初は「守り」、その会社を知る、のが重要で、企画を持ち込む時に、そこをきちっと押さえているとよいと思う。「離れる」の段階になったら、新しいジャンルとか、実力に合わせて、考えていけばよいと思う。


先達に学ぶ ~師匠と慕う人をつくる

20年つき合っている先生がいるが、1冊も本を作っていない。櫻井秀勲さんですが、ちょうど私がⅰモードをやっていて、先生が書かれた本、コンテンツをiモードの課金ができるようにしませんか、と申し出た。結構、売れて、先生のマンションの家賃が払えるくらいだった。先生のお歳で、デジタルには早くから着手された。今も、誕生日とかお手伝いをして交流がある。お役に立つことで、多くを学ばせていただいている。


作家以前に編集者を落とす ~編集者は編集者に弱い

編集者の方で今、本を書いてもらいたい作家がいる、大物作家に会いたくても会えない、ということがある。出版社の規模が小さかったり、歴史が浅いところだと、大物先生は難しい。個人情報保護で、出版社が連絡先を教えてくれない。そういう時、著者を落とす以前に、その担当者を落とすのです。いっぺん話を聞きたい、と、その本を担当した人に手紙を書いて、会ってみる。5回位会って、関係ができると、ちょうど先生に会う時、声をかけてくれて、連れて行ってくれる。名刺交換できれば、本を書いてくれる可能性も広がる。自分と同じ編集者は同業者に対してやさしい。ちゃんと礼儀をつくせば、大丈夫。作家を落とす以前に、編集者を落とす、というのがいいと思う。



「絆」で仕事が生まれる ~60歳以上も関係を保つ

編集の仕事は、フリーでもやっていけるので、辞める人もいる。でも仕事が先細りになる。今、働いている職場で、人間関係をきちんと作っておくというのが重要かと思う。わからないことは聞く、というのが可愛がられる秘訣のひとつだし、何かテーマに取り組み一生懸命やっていることがわかれば、声がかかる。著者の先生から、やはりあなたにやってほしい、とお願いされる場合もある。編集経験が豊富で実績もある女性のフリー編集者がいて、弊社の新卒の若い女性編集者にいろいろ教えてほしいとお願いしたら、「本を作っても人を育てることはしません」という。いろいろ教えてあげると、若い人はその人を慕ってきて、仕事がどんどん増えるのにもったいない。考え方の一つで、チャンスだな、と思ってやられるのが、一番いいかなと思う。




2、自分自身の方法論、仕事のスタイルを確立させる

1タイトル1冊のノートを作る ~新刊の「母子手帳」

1冊の本を作る際に、大学ノート1冊、全部、必要な資料、契約書のコピー、かかった経費の領収書のコピーなど、貼って貼ってとにかく1冊にまとめたものが、今、家に400冊ある。

ノートが威力を発揮した時期があった。編集者として働き盛りに、胆のうが破裂して、1か月近く会社を休まなければならなくなった。その時に、重版のこととか、プロダクションの連絡先など事細かく書いてあった。自分がいなくて答えられない時に、全部わかるように、いつもノートを机の上に置いてある。それを見てもらい、どのような仕様だったか、自分がいなくても全部わかって、役に立った。


取材と接待は前の日から ~デートと同じく予行練習

先生方を接待する時、慣れているから、とか、知っている店だから、というのではなくて、どんなお料理か、もう1件となった時に、近くにどんなお店があるか、前もって調べておく。同じ時間帯に、そこを歩いてみたりすると、落ち着いて対応できる。これはデートする時と同じではないでしょうか。小椋桂さんなど、有楽町から映画館まで何歩で行けるか確かめて、何歩目で何を言うかを決めたそうです。女性と食事する時は、終電は何時とか、ちゃんと事前に調べておくのと同じことです。


本が読めない時は、人に聞け ~トークスとTOPPOINT

時間がなくて、本が読めない。今、どんな本が売れているのか、わからない。会議で部下から企画が出た時、いいかどうかわからない。そんな時、参考にする2つの書評がある。『トップポイント』は、京都の会社の書評誌。社長の橋本さんは、月に約40冊読まれる。本について聞くと、今月は何がよかったか、とか、この著者がいいとか教えてくれる。もうひとつ『トークス』。書評をCDで販売していた大阪の会社がある。このふたつに、だいたい共通した本や著者が出てくると、読んでみる。自分に力がない時は、人の力を借りる、ということが大切。


デジタルとライツの知識は必須 ~川上と川下を知ってこそプロ

これは、ぜひ勉強していただきたい。何が大変かと言うと、書いた本の内容、価値が、そこで終わらないということ。紙の本ができた時、次が文庫になり、それからデジタル化し、電子書籍になる、オーディオブックになったり、今は、5つ位の展開をやってしまう。

小さな出版社は、文庫をやってないから、自分たちは権利に関われない、と泣いてしまったら駄目。何とか守るんだ、文庫が出せなくても、守るという気持ちが大事。

『マチネの終わりに』は、構図が全部、分断している。新聞連載が毎日新聞、初版本の四六判は、毎日新聞出版、文庫は別の出版社、デジタルはコルク、これ、最初に分かっていれば、よかったのですが。結局、電子書籍など、労ぜずして作れて、おいしいところを持っていかれてしまう。

契約書はどんな内容になっているのか、そういうところをしっかり見ること。契約に関して、勉強会をされたらいいかと思う。エージェントが狙っていますから(笑)。



自己防衛対策 ~不良債権をなくすつき合い方

編集者の方とプロダクションを経営されている方には、ぜひ、知っておいていただきたい。不況が続けば、お金が支払われない場合があります。仕事をいただいている側からは、なかなか催促できないという弱みがある。しかし、300万円取り戻したプロダクションがある。いろいろ聞いて、出版社の誰なのか、調べれば大体わかるものです。

その編集担当者にわたす覚書が、支払いを受けるほうがプロダクションの社長さんで、支払うほうが担当編集者だったらその覚書は駄目です。覚書は、同格でないと駄目。プロダクション側が社長だったら、出版社も社長でないと。何月何日まで支払います、という覚書を送ると言うと、覚書は交したくなく、すぐに払ってくる。この場合は、社長に分かったらまずい、と思ったらしく、4件、取りもどすことができました。泣き寝入りしては駄目だと思う。編集者のほうも、きちんと支払わないと駄目ですよね。「下請法」も知っておくことが大事。


著者との絆はフェイスブックやツイッターで結ぶ ~会ったような気分

編集者をやっていると、心苦しいことがある。ベストセラーが出た時は、朝夕に電話したり、会ったり、よかったよかったとなるが、3年4年たち、売れなくなると会話がなくなり行かなくなる。別の版元から出版されると、また連絡して接近するなど、その繰り返し。先生とフラットな関係を保てないかな、と思っていたら、今は、先生たち、フェイスブックやツイッターに、しょっちゅう書き込んでいる。あれをやっていると、3か月会っていなくても、この間会ったように、すぐに、先生方とお話ができる。それをしていない先生方とはまた別な方法がある。とにかく今は、いろんな形で、先生方との関係を作っていく、という時代になってきた。会社全体で、著者対会社の関係を構築していかないと、優秀な編集者が去る際に著者も去ってしまい、売り上げがどんと落ちる、ということが起こっている。


意味づけの習慣 ~目の前の仕事が将来につながる

これは私が今もやっている習慣です。きょうもここに来る時、何のために自分は、と考えて、来るようにしている。そうすると、そこで自分が話すことがまとまってくる。朝会社に来て、会議とかあって、どうとかこうとかあると、みんな流してしまうんですが、やはり、その日その日に、きょう、どういう仕事をやる、とちょっとだけでも考えるといい。これをやっていると、編集者をやるための必要なものが備わってくる。だれだれに会うという時、会う意味を徹底的に考えていきます。2年位前に、自由が丘にある産能大で学生に、何回か教えに行った。学生の1人に、「編集者には、どうしたらなれるんですか」と聞かれた。迷うことなく、「意味づけの習慣をつけよう」と言った記憶がある。要は、この人に会うんだ、と考えるだけで、何を言おうか、何を聞こうか、といろんなことが自分の中にひらめいてきて、役に立つものです。



編集者としてどのように成長していったらよいか、中村氏の実体験を交えたお話から、とても具体的なアドバイスをいただきました。このほかにもまだまだアドバイスがありましたが、この中のアドバイスのひとつでも、繰り返し続けていけば、きっと編集者としてブレイクスルーするときがやってくるだろう、とそんな気持ちになれる、目からうろこのお話がいっぱいでした。



(平成29年5月18日(木)AJEC編集講座での講演より)

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