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編集者・評論家 津野海太郎氏 電子本をバカにするなかれ
津野海太郎 1938年福岡生まれ。編集者・評論家。早稲田大学卒業後、演劇と編集に携わる。劇団「黒テント」制作・演出、晶文社取締役、『季刊・本とコンピュータ』総合編集長、和光大学教授・図書館長を歴任。主な著書に『小さなメディアの必要』(晶文社)、『滑稽な巨人 坪内逍遙の夢』(平凡社、新田次郎文学賞)、『ジェローム・ロビンスが死んだ ミュージカルと赤狩り』(平凡社、芸術選奨文部科学大臣賞)、『おかしな時代「ワンダーランド」と黒テントへの日々』(本と雑誌社)、『したくないことはしない 植草甚一の青春』(新潮社)などがある。

電子書籍元年といわれた2010年。AJECでは業界の第一線で活躍する方のインタビューを通じ、電子出版時代の編集者の仕事とはいかなるものかを追究してきた。
そして、この年の瀬、それを総括するにふさわしい著書をあの編集者のカリスマといわれる津野海太郎氏が上梓した。その名もスバリ『電子本をバカにするなかれ』。「電子化への動きを五千年におよぶ長い書物史でとらえなおしてみよう」と言う津野氏に迫る。


今、第三の革命が起きている

一般的に「電子出版元年」と名付けられ喧伝されている現在の状況を、津野さんは近著『電子本をバカにするなかれ』の中で「書物史第三の革命」と名付けられていますが、あえてそのように呼ばれるのはなぜなのでしょう?


現在起きている大きな変化の波を、「紙か電子か」というような矮小な次元で捉えたくない。この変化を5年、10年ではなく、100年、1000年と続く書物史の流れの中で捉えたいと思っているんです。
それでいうと、「第一の革命」というのは、それまでの口伝から文字による記録が始まった「書記革命」、「第二の革命」は写本から印刷本へという変革が起こった「印刷革命」、そして「第三の革命」は印刷本から電子本へと向かおうとする「電子本革命」を意味します。
ここでは書物史5000年を振り返る余裕はないので、まず、私たちの生きてきた20世紀という時代を振り返って見ましょう。この時代を一口で言うとすれば、「本の黄金時代」と言えると思います。
グーテンベルグが印刷機を発明した1450年に発行された書物の点数は全世界でわずか100点です。それが5万点に増えるのは1850年ですから、400年近くかかったわけです。ところが、それから100年後の1950年には25万点、さらに2000年には100万点を突破してるんです。
20世紀という時代が、いかに「本の黄金時代」であったかがわかりますよね。
この現象を支えていたのは、言うまでもなく印刷やその周辺技術の飛躍的な進歩です。しかし、いくら生産技術が進歩しても、本を買ってくれる人がいなければ、刊行点数が増えるはずがない。爆発的増加の為には、「何らかの書物の大衆化装置」が必要です。日本の出版業界においてその「装置」役を果たしたのが、1920年代に登場した「円本」と「文庫」でした


円本と文庫が大衆化装置の役割を果たす

「円本」というのは、改造社の「現代日本文学全集」を皮切りに立て続けに出版されたおびただしい種類の全集のことで、それらはどれも一冊1円が売り文句で、ものすごい売上げを記録しました。
そして、もう一つの仕掛けが、1927年の岩波文庫発刊をきっかけとする文庫ブームです。廉価であり、手軽に持ち運べる小型本であることが人気を呼び、こちらも新潮文庫、改造文庫などが相次いで発刊されました。
こうした円本や文庫ブームによってサラリーマンの間に「車内読書」や「家庭内図書館」といった文化習慣が根付いていきます。
そして次の曲がり角が戦後の出版ブームですね。占領下では出版できなかったヨーロッパの新しい前衛小説や、従来の出版界からは敬遠されがちだったジャズや映画の本などもしだいに楽に出せるようになっていきました。この勢いはさらに続き、71年に国内の書籍総発行点数は2万点だったのが、82年には3万点、96年には6万点、そして2001年にはなんと7万点を越えます。こうしてみれば20世紀、とりわけ世紀末の10年間がいかに異様な状態だったかがわかるでしょう。しかも、これは日本だけのことではありません。英米仏をはじめとする先進諸国でも共通して同じような本の大衆化現象が見られました。
以前は少数のエリートのものだった教養が一般に解放された結果、分厚い知的中間層が生まれ、それに並行して読み書き能力を身につけた大衆向けの出版が爆発的に拡大していったんです。
その結果、いまは過去に例を見ないほどの大量の本が出版されており、私たちは多様な本を自由に読める状況にある。むしろ、本と読書に関してはいまほどいい時代はない、と言ってもいいほどなんです。


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