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電子出版が変える編集制作の未来 株式会社インプレスR&D『OnDeck』 編集長 井芹 昌信 氏
井芹 昌信 株式会社インプレスR&D『OnDeck』 編集長。株式会社アスキーの書籍編集長を経て1992年に株式会社インプレス(現株式会社インプレスホールディングス)をアスキー出身者とともに設立。現在取締役。グループ分社化にともない2007年、先端ITテーマの調査、出版、事業開発を担うインプレスR&Dを設立し、代表取締役に就任。2010年12月、日本初のEPUBを使った電子出版ビジネス雑誌『OnDeck』を創刊。

「電子書籍元年」と叫ばれてから、はや2年。各出版社が電子化を推進する一方で、流通の場では異業種が新ストアを立ち上げ、参入。さらにはさまざまな企業連携の動きが重なり、新市場争奪をめぐる新旧勢力の攻防は激しさを増している。そのようななかでコンテンツ制作を担う編集制作プロダクションはどのように道を切り拓いていくべきなのか、今知らなくてはいけないことは何なのか。電子出版時代の編集制作会社のビジネスと仕事の変化について、電子出版ビジネスの最前線を伝える専門誌『OnDeck』の編集長 井芹 昌信氏に聞いた。

電子出版3年目「標準化」の壁が立ちはだかる

一昨年「電子書籍元年」と言われ、多くの出版社が電子出版への取り組みを始めました。昨年までは先行投資や話題作のプロモーョンの一環として発刊されたものが多く、一般読者に普及していくのはまだまだこれからというところだと思います。そこで、まずは電子出版の制作現場の現状と課題をお聞かせください。

現状では、まだまだ読者が電子書籍のメリットを享受できる環境が整備されていないと言えます。読者が縦書きをきれいに表示できるビューワーを持っていないなどデバイスの問題、電子ストアを含めた流通の環境整備の問題など多岐にわたります。 ただ供給コンテンツをつくる編集制作側の大きな課題として、フォーマットの標準化があります。 日本国内では縦書きができる国産フォーマットであるXMDFやドットブック(. book )が主流なのですが、電子ストアで扱うフォーマットもストアによってバラバラなので、それが日本の読者にとって選びにくい状況を生み出していると言えます。 一方で世界的にはインターネット言語から派生したEPUBが標準となっていますが、EPUBは元々日本語組版に未対応で国内のストアで扱っているところが少ないため、日本ではまだ普及していません。 しかし、昨年日本語組版対応のEPUB3.0が発表され、今、技術整備を行っているところです。国内の制作の現場で使用できる環境になれば、日本でも一気にEPUBが標準になる可能性があります。EPUBが日本で電子書籍の標準になれば、コストを含めて編集制作が効率化でき、読者メリットも向上します。 編集制作の現場ではひとまず、XMDF、ドットブックを使いながら、世界標準のEPUBの動向も見逃さないことが必要だと思います。

日本の出版界が抱える課題「最適化」

そもそもアメリカの出版界の多くはXMLという世界標準のインターネットの言語フォーマットを使って組版をデータベース化していました。EPUBはXMLの技術を高度化したものですから、アメリカの出版界は問題なくEPUBに移行することができました。 一方で日本の出版界はビジネスの効率化、標準化ということにあまり取り組んできませんでした。 日本の出版界でデジタル化というとDTPが思い浮かびますが、DTPは版下がコンピュータ化されただけであってデータベース化には至っていません。日本の場合は「入稿したら終わり」で、データを再利用するにも版がまちまちだったり、どこにあるのか担当者に聞かないとわからないというのが実情です。 この日本特有の編集者の仕事の仕方には一長一短があり、編集者が一人でほとんどの仕事を取り仕切ることによって、非常にレベルの高いクリエイティブなものが生み出せるという面があります。しかし電子出版にはあまり向いていないのです。 まずはデータの保管方法や制作フローを電子出版制作向けに最適化することが、業界として急務だと思います。

電子出版は新しいビジネスモデルの創造

制作面の課題が価格にも反映してしまっていると思いますが、読者にメリットのあるものが、まだまだ少ないと感じます。

読者にとって電子書籍の最大のメリットは、安くすぐに本が手に入ることです。 しかし現状では電子コミックなどの一部をのぞいて、電子書籍単体で刊行されるものはほとんどなく、紙の制作とセットになっているため従来のコスト構造から脱け出せていないのです。 皮肉なことに電子書籍のビジネスの発展が紙の本を同時に制作することによって阻まれてしまっているんですね。 それを打破すべく、私が編集長を務める『OnDeck』では「デジタルファースト次世代出版モデル」と称し、まずは電子でのみ制作することを提唱し、実際に実証実験をしながら制作しています。 どんなことをしているかと言いますと、フォーマットはEPUBを使い、読者に届くパッケージとしてはEPUBのほかにPDFを用意しています。そして紙で読みたい方のためにはAmazonでオンデマンドプリントを用意する、といった紙の在庫を持たないビジネスモデルを生み出し、電子は紙より価格を半額にすることを可能にしました。 グーテンベルグの印刷機の発明以来、出版の役割が知識の伝播にあるならば、今回のイノベーションはその本質的な役割をさらに拡張するものです。 ですから、今回の電子書籍のイノベーションはまったく新しいビジネスの創造と捉えてほしいと思っています。

流通の川下まで思いを馳せる編集者が求められる

では電子書籍の仕事を成功させるためにも編集制作会社の編集者が知っておくべき仕事のポイントはどのようなことでしょうか。

電子書籍制作では、出版社側でいえばマーケティングや宣伝、営業、そして流通が大きく変わります。電子書籍はネットの世界で埋没してしまわないためにも、さまざまな販売戦略で読者にアピールしていくことが必要になってくるからです。 それに対して編集制作会社の編集者が知っておくべき大前提は、どんなデバイスがどんなフォーマットに対応しているのか、そしてどのフォーマットならばどのストアに卸せるのかという知識です。 たとえば『OnDeck』ならばEPUB、PDFを使って、マガストアや雑誌オンラインで売るという仕組みです。 電子ストアにはそれぞれ強いジャンルがあり、ターゲットも違います。出版社の戦略パートナーとなるためにも、編集制作会社の編集者にはITの知識とマーケティングの発想がますます求められてくると思います。 それに読者が本に求めていることも多様化していますから、どんなメディアでアウトプットするのが最適なのかを提案する力もますます求められます。 たとえば『OnDeck』は電子出版ビジネス専門誌ですから、会社に資料として一冊置いておきたいというニーズがあります。 そのニーズに『OnDeck』では、従来の製本された本を求める方にはAmazonのオンデマンドプリントで対応し、もっと安くかつプリントアウトできるものをという方には安価なPDFを用意しています。こういった必ずしも製本されたものでなくともいい、というニーズはこれからもどんどん出てくる可能性はあります。

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