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杉並区立和田中学校前校長 東京学芸大学客員教授 藤原和博 【よのなか】科と教育の未来 英語の発音はロボットに任せる

 

それから、もう一つの問題として、今回の指導要領から小学5年生に英語の授業が加わりますが、僕は電子化をすすめないと非常に中途半端なものになってしまうと思います。というのは、それまで英語なんて話したことのない担任の先生が教えるわけだからです。小学校に専科の先生は配置されませんからね。
そうなると、英語ロボットのような自動音声教材と電子黒板、モバイル端末を使った教え方を標準化していかないと、教師の力量の差で小学校の時点で生徒たちに差がついてしまう。小学校で英語ギライになったら、その後の中学英語についていけなくなりますよ。べつに教師は英語の発音を磨かなくていい。それはロボットに任せる。
こういうことをいうと「人間が教えることが大事だ」とか「人間同士のコミュニケーション」とかいう人がいますが、それより教えるノウハウ、メソッドを確立することが急務だと思います。
これは、国家的プロジェクトとしてやるべきだと文科省にも言ってます。今、中国では、日本の中学の必修である1000ワードが小学校で必修になっています。日本はそれくらい遅れているんですよ。中国は日本の指導要領を徹底的に研究して、超えようとしているんだけど、日本はどんどん後れをとっています。そうならないためにも、英語ロボットの実現が急務だと思います。

授業の流れが逆流する「劇場型」の学び

なるほど。教育の電子化が叫ばれる背景には、そういった日本の教育界の問題があるわけですね。

そうです。では【よのなか】科のような授業は電子化でどのように変化するかというと、たとえば、「赤ちゃんポストに賛成か?反対か?」とディスカッションさせます。そのあと、自分の考えをメールで発信すると黒板横のディスプレイに生徒の意見が掲示板のように一覧になって表示されるんです。これはC-Learningというソフトを使用しているのですが、ほかの人の考えが即座にわかるし、そうすることで、刺激を受けるんですね。これを見ながら、教師はさらにつっこんで授業を展開したり、議論を深めさせたりすることができます。授業が立体的になるんですね。
途中でグループになって考えをまとめさせたり、大人も入って議論させますから、よく言われるような「電子ツールを使うとナマのコミュニケーションが削がれる」というようなことはありません。逆に、むしろ活性化する。つまり「子どもたちからの発信」という要素が大きな役割を持つようになるということです。
従来型の授業では、どうしても「わかった人、手を挙げて!」となってしまうから、いつも発言者が成績優秀児か目立ちたがり屋に限られていました。デジタルツールは、むしろ子どもたちの「情報編集力」を鍛え、自分の意見を発信する機会を飛躍的に増大させるためのツールになるということです。
その時に使うソフトによって情報の流れを逆転させるということをどのように演出できるか、というのが皆さん方のような制作側の企画編集力が試されるところです。
また、こういったワークショップ型の授業はある意味、劇場型の授業です。しかしながら、まだまだワークショップ型の授業に慣れていない教員が多いのが実情です。そういった面も含めて、教材の編集者のみなさんには、教師と生徒が教室という劇場空間のなかでの学びを演出する制作に期待をしています。

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