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NEC CSR推進部 社会貢献室 主任 池田 俊一氏 次代を切り拓く社会起業家の創出

 

プロボノによる社員への教育的価値

それから2010年からスタートした『NEC社会起業塾ビジネスサポーター』は社会起業塾の卒業生を弊社のグループ社員が支援する、いわゆるプロボノ*2のプログラムです。
なぜ、このプログラムをスタートしたかといいますと、三つの理由があります。
一つ目はNECグループ社員が社会起業家を支援する機会の創出ということです。ここ数年、新聞やテレビで社会起業家の特集が多く組まれることが多くなってきて、社員からも社会起業家と情報交換したい、できる範囲で何らかの支援をしたいという声が社内で高まっていました。そこで社員が社会起業家と接点を持つための場づくり、ということで企画されました。
二つ目は私たちが社会起業塾の開催を通じて、社員も社会変革の現場に参加することによって、いろいろな学びや気づきを得られるのでは、と感じていました。そこで得られた生活者としての視点を今度は自分の業務に戻ったときに、新しいサービスやソリューションのヒントにしてほしい、という狙いがあります。
三つ目は社会起業塾の卒業生へのフォローアップです。社会起業塾は約半年のプログラムですが、卒業したらあとは自力で頑張ってというスタンスです。しかし、すべての卒業生が成功するわけではありません。そこで、停滞してしまっている起業家たちの支援をプロボノに手を挙げた社員にやってもらおうという試みです。
このプロボノプログラムは業務時間外の週数時間をボランティアに充てています。
今年は高収益アグリビジネスを開発する株式会社オリザのWebサイトの構築や、ワンコインで血液検査が行えるケアプロ株式会社のCRM*3の導入支援をさせていただきました。あとは、中小企業診断士の有資格者社員がプロボノ活動に参加したので、経営的な視点からも両社にいろいろ協力できました。
その成果ですが、社員に聞いたところによると、まず今後につながる社外はもちろん社内の人的なネットワークができたという声が多かったです。社員同士であっても、全然違う事業部門の人とはなかなか仕事で集まることはありません。そういった意味でお互いが知らないことを教え合うことがメリットとして生まれたようです。
もう一つは新しいサービスや新しい業務改善など、仕事のヒントを得られたことが大きかったようです。こういった気づきは実際の現場での体験でしか得られませんから、社員にとっても自己啓発となる貴重な機会となっています。
プロボノに参加する社員は、入社以来NEC以外の会社を経験したことがなく、ましてやベンチャー企業の人たちと接する機会はほとんどありません。プロボノを経験することで、ベンチャー企業の考え方の柔軟性やスピード、フットワークの軽さなど、いろいろなことを吸収して帰ってきています。

企業イメージの向上と新たなビジネスの創出に寄与

お話を伺っていると、社会的課題の解決に貢献しているだけでなく、企業としてさまざまな成果と価値を生み出していると感じます。

民主党政権になって「新しい公共」という政策が掲げられましたが、企業とNPOの新しいエンゲージメントのモデルをつくれたのではないかと思います。このノウハウは経団連や経産省のソーシャルビジネス研究会で紹介されるなどの結果、さまざまな社会的インパクトをもたらすことができました。
また、幸いにも新聞やテレビなどに取り上げていただき、社会起業塾だけで200件ほどのメディア実績ができ、企業イメージの向上にも非常に寄与しています。
面白いと思ったのが、それによって社員も自社の社会貢献活動の評価をマスコミで知ると、社員の会社へのロイヤリティーも上がるなど、さまざまな面で社会貢献プログラムの効果が表れています。

こうして、どんどん支援している起業家たちが育っていくと、御社としてもやりがいのある事業の一つですよね。

これだけメディアにも注目されて卒業生が成功しているというのも、やはり社会貢献として継続していくということと、毎年PDCAをしっかり回してきたというのがポイントだと思っています。NPOとの協働もいろいろな反省点を踏まえて、次年度はどうしようか、こういうふうに改善していこうと、地道にやってきた結果だと思っています。

「新しい公共」を引っ張るリーダー格の人たちを輩出してることからも、新しい時代の経営塾になりそうですね。

特にこの社会起業塾は弊社の社会貢献プログラムのなかでも先駆的な活動ですし、協働しているNPO法人ETIC.とは、新しい時代の「松下政経塾」のようなものを目指していきたいというふうに議論しています。
もちろん、社会起業塾の活動はメディアなどに取り上げられて広報的な価値を生み出すということと、プロボノのように社員教育的な価値も生み出していますが、まずはNPOとの協働でソーシャルイノベーションを起こして、それが社員レベルにまでフィードバックされたときに、ビジネスで新しいものが生み出されるということを期待しているんですね。実際に事業部門と卒業生と情報交換するだけでも、かなりビジネスには有益ですから。

しかし御社のようにCSRを事業体と結びつけて、社内を巻き込んでいくというのは、他の企業ではなかなか難しいようです。

この社会起業塾のプログラムに関していえば、できるだけいかに社員を巻き込めるかというのが勝負だと思ってまして、地道に社内告知も積極的に行っています。弊社の場合は社会起業塾にしても、報告会や審査会などを弊社のホールや施設で行うのです。そこに社員もオブザーバーとして参加できるんですね。社内でそういう仕掛けをすることで、社員が自然に社会的課題に対して関心が高まっているとも思います。
ただ、私が感じたのは社内を巻き込むのが急加速した一つのきっかけは、やはり新聞、雑誌、テレビなどのメディアに取り上げられたことで、社員への説得力が増したということが大きかったです。メディアによる説得力とCSR部門からのアプローチの二つが相まって、企業の社会貢献活動は成功すると実感しています。

*2:プロボノ
知識労働者が自分の職能と時間を提供して社会貢献を行うこと。
*3:CRM
Customer Relationship Managementの略。情報システムを使い、企業が顧客と長期的な関係を築く経営手法。
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